Apexネタ

Last-modified: 2021-05-09 (日) 07:28:08
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私の名前はナタリー・パケット。22歳。
APEXゲームの主任電気技師の父のもとで過ごし、私自身もそのゲームの拘束変成リングの建造を託された。
現在はアリーナでレジェンドとして戦っている。
父を亡くし、私にはもう居場所なんて無いと思っていた。でも今はこのアリーナが私の居場所。
ここでの生活は気に入っている。最近は特に。

ついこの間、私は最愛の人と結ばれた。

幼少期からパパの真似事をしたくて専門書を読み漁っていた私は周りの人との交流がほとんど無かったから、好きになった人へのアプローチの方法なんて当然知る由も無くて。少々強引なやり方で恋人になった。
一部ではワットソンは病んでいる、やばい奴、頭がおかしい、なんて言われているらしいがそんな事はどうでもいい。

年齢も性別も超えて、私は好きな人と結ばれたのだから。
彼女だって私の事を愛してるのだから何も問題無い。それで良いじゃない。

今みたいに眠れない日はよくある。
そういう時はいつもこうして共用リビングで一人温めたミルクを飲みながらぼーっと考え事をする。自分の部屋に籠るよりは何となく落ち着く。

時刻は午前0時を過ぎた。

こんな時間だし皆はもうとっくに寝ているだろう。
レネイは眠れているかしら。彼女はよく悪夢を見て魘される事を最近知った。あれじゃきっと深い眠りになんてつけていない。
本当は私が横で添い寝をしてあげても良いのだけど、彼女はそれを絶対許さない。彼女の部屋には毎晩のように行くが、寝る前には必ず摘み出される。
身体がもたないからそれだけは勘弁して頂戴、なんて言っていたけど、レネイったらきっと照れているのね。そんなところも可愛いわ。
レネイの身体の柔らかい感触、火照った表情。思い出すだけで下半身が熱く疼くのが解る。
こうなってしまっては暫くは眠れそうにもない。
そもそも、普段はクールで頭の回転が速くて強いリーダーシップを発揮しているレネイが私の前では

「あれ。何だよ、先客がいたのか。」

勢いよく開いた扉の音に思わず肩が一瞬震える。
緩みきったにやけ顔で物思いに耽っていた私にはタイミングの良すぎる、いや悪すぎる不意打ち。

うわ…最悪。

私がこの世で一番嫌いであろう人物が扉の前で驚いた顔をしていた。

「こんな時間にどうしたんだよ。美容に悪いんじゃないのかぁ、可愛いお嬢さん?」

はっ、といつもように人をおちょくる様に笑うとランパートは持参していたカップにコーヒーを淹れ始めた。

「……貴方の方こそこんな時間にコーヒーなんて飲むのかしら?睡眠不足は美容に良くないわよ、ランパート。」

お嬢さんだなんて、私は仮にも貴方より歳上よ。
言葉にこそ出さないが、顔や態度で苛ついた様子が伝わっただろうか。

別に構わない。
私はこの女が嫌いだ。
元々下品な事を言う女という印象で生理的に嫌いだった。
今はもっと嫌いだ。

思い出したくも無いけど、この女はきっとレネイの事を狙っているに違いない。レネイは魅力的な人だ。きっとそうに違いない。
性格や言動以前の問題だ。

「明日はオフなんだし私だって夜更かしくらいするよ。アンタも同じだろ?」

「もう0時を過ぎてるから明日じゃない。今日よ。」

「うわぁそういう事言ってくる奴いるよなぁ。めんどくせー。」

勿論こんな嫌味な言い方はわざと。貴方だからよ。
コーヒーを淹れ終えたランパートが何故か私の座るソファーに一緒に座ろうとしてきた。

それじゃ、と素っ気なく言い私は立ち上がった。
貴方と二人きりなんてごめんよ。

「待ちなよ。」

ぐい、と左肘を掴まれた。
咄嗟に舌打ちしてしまった。完全に無意識だった。いけないいけない。こんなところレネイに見られたらと思うと。気を付けなきゃ。

「……何?」

私は振り返るとあからさまに嫌な顔でランパートを睨みつけた。
ランパートはニヤニヤと不敵に笑っている。

「まだ残ってるぜ?これ。」

あぁ。そういえばミルクを飲んでいたんだった。テーブルに忘れていたカップにはまだそれが半分程残っていた。

「部屋で飲むわ。嫌いな人と一緒に居れる程我慢強くないの。」

「まぁそう言うなって。私とアンタ、二人きりで話す機会なんてそう滅多に無いだろ?なぁ、ほら。」

「……。」

嫌いだと明言された人間と真夜中に会話がしたいとは一体どういう神経をしているのか、純粋にその思考回路が気になる。
普通近しい関係でも無い相手にそんなぐいぐい来るかしら?
私も人の事を言えないが、この女も人との距離感が分からない質なのかもしれない。
正直面倒臭い。

まぁ眠れないのは本当だし、暇潰しに付き合ってあげても良い。少しだけなら。

こんな時間にランパートと過ごすのは不服だったけど仕方なしに彼女と隣合わせでソファーに腰掛けた。
私も彼女も小柄な方なので二人掛けのソファーでも幾らか余裕がある。

「へへっ。振られなくて良かったよ、アンタとはお喋りでもしたいなって思ってたからさ。」

「……そう。今更話す事なんてあるかしら。」

「そんなツンケンすんなよ。私やアンタ、ライフラインは同じ女子のヤングチームだろ?仲良くしようぜ、ワットソン。」

馴れ馴れしく肩を組もうとしてきた腕を無言で振り払う。

…私が気にするのは失礼なのかもしれないけど、その女子のヤングチームとやらの中にレネイの名前が無い事が複雑な気分。
彼女は意外と子供っぽくてユニークなところもあるし、何より身体は弾む様に若々しい。私が言うんだから間違いない。
こんなところでムキになって主張する気も無いけれど。

コーヒーを一口啜った後でランパートが言った。

「いきなりだけどさ、ブラジーとは上手くやってんの?」

「ぶっ」

私もつられてミルクを飲んだ時にそんな事を言うものだから思わず吹き出してしまった。

「隠し事は出来ないタイプかぁ。嫌いじゃないよ、そういう奴は。」

「いきなり過ぎるわよ。それに私達の事は隠してるつもりもないわ。」

「そうかよ。で?そのネコちゃんには満足させてあげてるのかい?」

「…皆は貴方の冗談で笑うけど、私は嫌い。下品だわ。」

へへへ、とニヤニヤしている彼女の真意が分からない。
いや……なるほど、そういう事か。
武器の改造とお酒の事しか考えていないと思っていたけど、そういう女の嫌な思考は働くようね。

「私を挑発しているのね、ランパート。貴方にレネイは渡さないわ。彼女は私のものよ。」

「はぁ?私は別にブラジーの事なんて何とも思ってないよ。」

「貴方も隠し事は出来ないようね。だからしつこくレネイにちょっかいを出しているんでしょ。私には分かるわ。」

「なんていうか、アンタは馬鹿だなぁ。」

ば、馬鹿……。
馬鹿なんて言葉、生まれて初めて言われたわ……。

「頭の中で勝手に早合点するなよ。アンタってそういうところあるよなぁ、ワットソン。会話が出来ないというか。」

「……悪かったわね。じゃあ何が言いたいのよ。」

痛いところを突かれたようで少し悔しい。
確かに人の話を聞かず暴走してしまうのは私の悪い癖だ。
粗暴そうな性格に見えて意外とランパートは人の事をよく観察しているらしい。

「私が言いたいのはさぁ、私より上手くくすぐってブラジーを満足させてるのか、って事だよ。」

「……何ですって?」

「そういう意味じゃあアンタを挑発してるかもねぇ。」

「……。」

ランパートより上手く、レネイをくすぐっているかですって?満足って、そっち?ネコちゃんだなんて言うからてっきり。
くすぐりに上手い下手なんてある?
いいえ。そんな事より、どうしてこの女は恋人がいる人に対してのスキンシップを堂々と告白しているのかしら。理解出来ない。

「あのねぇランパート。レネイには金輪際触れないで。たかがくすぐり、なんて答えは受け付けないわ。」

「分かってないなぁ、ワットソン。そんなんで本当にブラジーが満足するのかなぁ?」

「するわ。レネイは私にくすぐられて悦ぶように調教済みよ。そういう思考回路になるよう電流を流す装置を開発したの。」

「さらっと恐ろしい事を言うねぇ。違うよ。ブラジー、あいつは元々くすぐられるのが好きなんだ。」

扉の奥で大きな音が響いたがそんな事はどうでもいい。
今は怒りの感情だけがふつふつと沸き上がってくる。

「まるでレネイの事を知り尽くしたかのような言い方ね。貴方に何が分かるの?」

「アンタこそ何が分かるんだよ?ブラジーを先にくすぐったのは私なんだぜ?どうせそれに嫉妬にして、アンタもあいつをくすぐり出したんだろ?」

「会話が出来ないのは貴方の方ね。私はちゃんと答えるわ。それが何?先も後も無いじゃない。くすぐりに上手いも下手も無いように。」

「私は元々さ、くすぐりが好きなんだよ。」

「悪いけど貴方の事なんて興味無い。」

「それこそ色んな奴くすぐって来たんだぜ?正直、くすぐりの腕前なら誰にも負けない自信がある。そしてそんな私が見るにブラジーはくすぐりの虜になってるね。」

「……だから何よ。」

「頭がお利口なだけのお嬢さんには難しいかなぁ?くすぐりの百戦錬磨の私と、私への嫉妬だけで変な装置を使ってまでくすぐってるアンタ、あいつが本当に満足するのはどっちだろうねぇ?」

「……。」

冷静に、冷静になるのよ、私。
要は、くすぐり好きのランパートと私のくすぐり、レネイはどちらを選ぶのかって話よね。
私は元々くすぐり好きという訳ではないけど、くすぐられて笑う彼女を見て興奮したのは事実。
毎晩彼女をくすぐり漬けにしているのも事実。
そして以前クリプトのドローンで監視していた時には、レネイはランパートにくすぐってくれって頼まなくなったって言ってたのも事実。
つまりこれは私を選んでいるって事じゃない。

「まぁアンタがこんな調子じゃあ、ブラジーはさぞ脅えてるんだろうねぇ。私にくすぐってくれって言わなくなった訳だ。」

「いいえ。レネイは私のくすぐりの虜になっているのよ。答えは出ているわ。」

「虜に、ねぇ。どうせブラジー以外にまともに人を触った事も無いんだろ?」

「大切なのは経験した人数じゃないわ。そういう行為と一緒。どれだけその人を愛しているかよ。」

「口だけなら何ともでも言えるぜ。」

はぁ、と私は大きなため息を吐いた。
私は一体何をしているのだろう。
こんな夜中に、嫌いな人と、よりによってくすぐりの話題で口論をするなんて。
パパが知ったら何て言うかしらね。

「これ以上は時間の無駄だわ、ランパート。」

今程時間を無駄にした事は無いと思う。
そもそもどうだって良いのよ、こんな事。

気が付けばミルクも飲み干していた。
もう長居する理由は無い。

「どうでも良いとか考えてるなぁ?その顔は。」

まだ絡んで来るのか。
一体どういう理由があってランパートが私に噛みつくのかは分からないが、知った事ではない。
さっさと自室へ帰って寝よう。

「待ちなよ。私は口では何とでも言えるって言ったんだぜ。証明して見せなよ、その手で。私は証明出来る。」

「何を証明しろというのか知らないけど、また今度にしましょ。今度があるかは分からないけどね。」

「どっちがブラジーを満足させるくすぐりが出来るか証明しろって言ったんだ。それでも寝るのかい?だったら止めないぜ。」

「……は?」

「どうする?ワットソン。」

ランパートがニヤリと笑った。

なるほど、そういう事か。

確かに私も感情的にはなった。余りにもこちらを煽るような話口調だし、レネイをダシに使ったのも腹が立つ。

「貴方、私とくすぐり合いがしたいだけ?」

この女はそもそも人をくすぐるのが好きらしい。
という事は、そういう事なんだろう。

「へっへー。ばれたー?」

それならそうと早く言いなさいよ。
今までの時間は何だったのよ。
まぁそうは思うものの、くすぐらせてくれとこの女に頼まれても即答で断るだろうし、いきなり私の身体を触ろうものならカップをその顔面に叩きつけていただろうけど。

「正直な話、アンタみたいな可愛い子を前からくすぐってみたかったんだよねぇ。」

「正直な話、貴方みたいな性根から下品な女には初めて会ったわ。」

「はっ、アンタには言われたくないね。」

本当はこの女には触れたくも触れられたくもないんだけど。
それほど自分のくすぐりの腕に自信があるというのも面白い。
そのくすぐり合い、受けて立つ。

「あ。言っとくけどブラジーがくすぐられ好きだってのは本当だから。」

……レネイの為にも。

ランパートが両手を後頭部に付け相変わらず挑発的な顔で言った。
ほら、と。まじまじ見ると、ランパートって意外とスタイル抜群ね。

そしてどうやら私が先攻らしい。

日付の変わった頃に共同スペースでくすぐり合いなんて正気の沙汰ではないと思う。
今時のティーンだってそんな事しない。
それぞれの部屋は防音設備も整っているし、声が聞こえるなんて事は無いと思うけれど。

そういえば、さっきリビングの扉の奥から何やら物音が聞こえた気がしたけど、気にせいだったのかしら。

「何してんだ?早くしなよ。」

キョロキョロしているとランパートに急かされた。
うるさいわね。

「分かってるわよ。覚悟は出来てるわね?」

私が狙うのは、がら空きになっている腋の下。
指を細かく動かしながら近付ける。

「……っ、くくっ」

……想像していた反応と違った。
寝間着のTシャツから覗かせる腕の付け根に手を這わせ、指をこしょこしょとしてもランパートの反応はいまいち弱い。もっとこう、飛び跳ねると思った。若干笑いを堪えている様にも見えるが、何かが違う。
レネイはこれだけでも身体を震わせて笑い出すのに。

「どうしたー?効いてないぜ?」

「……私はスロースターターなの。余裕でいられる内に強がってなさい。」

Tシャツ越しにいくらこしょこしょしても効かない。
私に向けたへらへらした顔が癪に触る。

半袖の袖口に手を差し込み、直接肌をこしょこしょした。
すべすべした感触が指に広がる。

「あー、んー、えー、これはちょっと、効く、かなぁ?」

腋を直接こしょこしょされて流石にランパートの顔が少しだけ強ばった気がする。
腋の皺一つひとつを爪の先でこしょこしょとなぞる様にくすぐっても反応はいまいち。

おかしい……腋って触られただけで誰でもくすぐったいんじゃないの……?
いや、くすぐったがっている感じはするが、私が想像する爆笑とは程遠い。笑ってすらいない。

「だったらっ、これはどうかしら。」

こうなるとどうしても笑わせたくなる。

腋の下の辺りを親指でぐりぐりと押し込むようにくすぐった。決して痛くせず、程よい力でぐりぐりと。
レネイなら泣き叫んでるくすぐり方よ。

「分かったよ、ワットソン。分かった分かった。」

「……え、効かないの?」

これも駄目?
絶対笑うと思っていたのに。
やっぱりおかしい。いつもレネイにやっているように同じやり方でくすぐっているけど、ランパートには何故か効かない。
面白くない。実に面白くない。

「だったら脇腹はどう!」

「もういいよ。アンタのくすぐりの腕は十分理解した。これ以上はいくらやっても無駄だね。」

「……くっ!」

指先だけで無理矢理相手を笑わせるのが征服感をそそられて、それがくすぐりの良さだと思っていたのに。こうも無反応だと本当に面白くない。
こんなのおかしい。おかしいわ。

「何なのよ貴方!全然効かないじゃない!」

「知りたい?」

「知りたいわよ!レネイにはとってもよく効くのに貴方には効かない理由が知りたいわ。」

「簡単だよ。私、くすぐり強いんだよねぇ。残念。そんなんじゃ愛しのレネイちゃんは満足しないよ~?」

「くすぐりに……強い?」

くすぐりに強い弱いなんてあるの?
くすぐられたら誰でも笑うんじゃないの?

いや……確かに私も大口を開いて爆笑した経験は無いかもしれない。

「皆が皆、ブラジーみたくゲラゲラ笑うと思ったら大間違いだぜ。アンタの腕はそこまでってこった。」

「……あっそう。つまらないわ、貴方。」

「褒め言葉として受け取っとくよ。」

何よ。やっぱり時間の無駄じゃない。
この憎たらしい女が笑い悶えるのをちょっとでも期待した私が愚かで馬鹿だったわ。

「さ、次は私の番だねぇ。」

ランパートがニヤニヤしながら言った言葉に思わずため息を吐く。
この際早く終わらせましょ。

「こっちに頭を向けてソファーに横になんな。」

「ちょっと、貴方の時と違うじゃない。」

「当たり前だろ?私が見る限り、アンタは相当なくすぐったがり屋だよ。抵抗されて顔に拳でも飛んで来ても嫌だしさ。」

「その点なら心配ご無用よ。以前、試しに自分をくすぐった事があるけど効かなかったわ。」

「あー……どっかの誰かさんも同じような事言ってたなぁ。まぁ、もう良いから。早くしろって。効かないなら構わないだろ。」

「……。」

言いなりになるようで少し腹が立つだけど、ここは言う通りにした方が早く済みそうだ。

彼女の方に頭を預け、仰向けになる。
上から見下ろすランパートと、下から見上げる私。

「両腕を耳に当てるように伸ばして。」

「もうっ、注文が多い!」

「分かった分かった。分かったから早くしろ。分かったから。」

伸ばした両腕を抑えつけるようにランパートが腕に跨がった。
万歳したまま腕は降ろせそうにない。
無駄な拘束をしようって訳ね。

「寝間着のタンクトップを着てた事が仇になったねぇ。お年頃の綺麗な腋が丸見えだぜぇ?」

「……。」

気持ち悪いと思った。
まぁどうせランパートの時と同じようになるわ。
微妙な空気になってお開きになるのが目に見えてる。

「くすぐりなんて効かないわ。早くして。」

うねうねと動くランパートの指がゆっくりと近付く。

「はぅっ!」

……。

「おっとぉ?」

肘から二の腕をツツーっとなぞられた。
……おかしい。初めての感覚に思わず変な声を出してしまった。

「おかしいねぇ。なんだー?今の声は。」

「……痒かっただけよ。」

おかしい。前に自分でくすぐろうと試した時は

「あああー!」

また同じところをなぞられた。
……そしてまた変な声を出してしまった。
自分の意に反して発せられる声。
声なんて出したくないのに。

「くくくくっ……ああー!」

二の腕をさわさわされるだけでもう我慢出来ない。

……何なの!?この感じ!

「はっ。やっぱり私の思った通りだったね。」

「……おかしい……こんなのおかしいわ……。」

「なんにもおかしい事なんてないよ。いや、アンタが馬鹿みたいに叫んでる顔はおかしいけどね~?」

「う、うるさい!もう声なんて出さないわ!」

そうよ。そもそも私はくすぐりなんて効か

「なぁーっははははははは!」

「はいはい。お約束の反応ありがとさん。」

不意に腋を爪でかりかりと掻かれた。
今まで他人に触れられた事なんて無い場所に触れられ恥ずかしい筈なのに笑いが込み上げる。

やばい。これが、くすぐったいという感覚……。
未知の感覚に焦りを感じた。
勿論そんな事など彼女はお構い無し。

「あははははははははは!やめっぁははははははっ!」

「やっぱり私の思った通りだったね。」

「あーっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!」

大きく開かれた腋の表面10本の指が這い回る。
腕を閉じようにもランパートにがっちりと体重を乗せて固定されているので今更どうしようもない。

「ひゃあはははははははははははは!」

「さっきまでの威勢はどうしたんでちゅか~?」

「やめっやめへぇはははははははははははははははははははははははははっ!いひひひひひっ!く、くすぐったぁはははははははははははははははははははは!」

「嫌いな奴の前で大口開けて笑っちゃうのってどんな気持ち~?ワットソンちゃーん。」

「わきはぁぁ!わきがぁぁはははははっはははははぁっ!」

恥ずかしいし悔しい。
腋窩を触られるのが堪らない。
自分がこんな風にみっともなく他人の前で爆笑するとは思ってもいなかった。
腋を触られるのが本当に堪らない。

こんな女に好きなようにされるなんて。

それでも笑ってしまう。我慢なんて出来ない。
くすぐったいのがこんなに辛いなんて。

「ぎゃははははははははははははははははははははははははは!」

「ほれほれほれ~」

「ら、らんぱっ、はーっはっはっはっはっはっはっ!あああーっ!」

「辛いねぇ、止めて欲しいねぇ。」

「ああーっはははははははははははははははははははははははははははははは!」

「けど止めなーい。ほら、腋の下がひくひくしてるよー?」

「ぎひひひひひーっ!わきはぁっ、わきはもーいやぁはははははははははははははははははははは!」

「こうやってぐりぐりされるのも効くよね?ここをぐにぐにされるのも効くよねぇ?ほらほら、私の指がアンタの厭らしい腋を犯してるよー?」

意地悪くにやけた顔を今すぐぶん殴りたい。
腋から脳へ直接届けられる刺激。
ランパートの指がぐに、と食い込む度に電流が流れているかの様に爪先にまで力が入る。
腋の下の辺りをぐにぐにされるのが特に辛い。

レネイがくすぐられている時の表情が頭に過る。
私も今そんな表情をしているのだろうか。

「あぎゃぁっははははははははははぁ!」

あばら骨に沿わす様に指が突き立てられた。

「がっはっはっはははははははははははははははははははは!」

身体の奥の神経を転がすかの様なくすぐったさ。
ツボを探る様にあばらの辺りをぐりぐりと指先を食い込ませる。その些細な動作がどうしようもなくくすぐったかった。
無駄な抵抗だと知りつつも思い切り脚をばたつかせる。

「ぎゃーっははははははははははははははははははははははははは!そごいやぁぁははははははははははははははははははははははははははははははーっ!」

「正直、想像以上だよ。アンタくすぐり弱過ぎ。」

「うるしゃぁぁははははははははははははははははははははははははは!」

「良いんだぜ。降参するかい?」

「するするするするする!こうさんするかりゃぁ!」

もう降参でも何でも良い。

くすぐりから早く解放されるなら何だってやる。

「だからぁぁぁーっひゃはははははははははははははははははははははははははーっ!だからやめてぇーっ!!」

「よーし分かった。んじゃ、ブラジーの事は好きにさせて貰うけどそれでいいな?」

「いいからぁぁぁ!」

「即答かよ。」

漸く私の身体からランパートの指が離れ、必死に酸素を取り込む。

「はぁっ……はぁっ……」

乱れた呼吸は当分は戻りそうに無い。
本当に苦しかった。発狂する寸前だった。
羞恥心も何もあったもんじゃない。
あんなに笑ったのは生まれて初めてだ。
気が狂いそうだった。

「ちょっと前まではあんなに強がってたのになぁ、ワットソン?」

上から覗き込んでランパートが何か言ってるがどうでも良い。
辛かった。本当に辛かった。

「……はぁ……はぁ……はぁ……。」

ごめんなさい、レネイ……。私は悪い女よ……。でももう、くすぐられるのは嫌……。

「こいつはあっさりアンタを売ったぜー、ブラジー。どうせそこにいるんだろ?」

……は?

「……何を……言ってるの。」

ランパートがそう言うと、リビングの扉が控えめに開かれた。

「……レ、レネイ……?」

「……。」

顔だけ起こして視線を向ければ、確かにいた。寝間着姿のレネイが気まずそうにこちらを見ている。いつもお団子ヘアーではなく背中程まである黒髪を降ろしていた。

……え、どうしてレネイがここに?まだ起きてたの?部屋まで声は漏れていないわよね?
ていうかいつから?
あっ、そういえばさっきした物音は……。

「やっぱりアンタだったか。呼ばれるまで入って来ないなんて良い趣味してるな。」

「……誰も覗こうなんて思ってないわ。あの状況で入れる訳ないでしょう……。」

「ち、違うのよレネイ……!私はその……貴方を売ってなんか……えーっと……」

「聞いてたろ、ブラジーさん?愛しのナタリーからアンタを自由にくすぐっても良いって許可が出たぜ。」

「っ!!卑怯よ、ランパート!身体的な苦痛を与えてあんな事言わせるなんて!あんなの拷問よ!レネイには指一本触らせない!」

「こんな事言ってるけどどうする?ブラジー。」

「……色々言いたい事はあるけど、そもそも私は貴方達の玩具じゃないの。良い加減にしなさい。」

「おいおい、私のくすぐりはあんなに生意気だったワットソンを屈服させたんだぜ?完膚無きまでに。」

「くっ……!」

「くすぐられるのが大好きなアンタだってそんな私のテクでくすぐられたいだろ?」

「先ずそこを一番に訂正させて。誓って言うわ。私はくすぐられるのなんて好きじゃない。」

「は?それはないだろ。」

「寧ろ貴方が何故そんなに自信満々なのか本当に理解に苦しむわ、ランパート。」

やれやれと眉間に手をやり大袈裟に肩を竦めるレネイ。
ほら。やっぱり私の言った通りね。

「そしてナタリー。貴方にも言いたい事がある。」

「え?」

レネイの視線が今度は私の方に向けられた。

「さっきあんなの拷問よって、そう言ったわね?」

「い、言ったわ。」

「そっくりそのまま貴方に言うわ。あんなの拷問よね?少しは人の苦しみが理解出来たかしら?」

「レ……レネイ?」

レネイが私が横になっているソファーに近付いて来た。

何……?何で……私の上に跨がるの……?

「なんだよ。こんなところで痴話喧嘩かよ?」

「いいえ。この際だから教えてあげようと思うの、この子に。」

「ま、待って、ちょっと待って……まさかレネイ、貴方……」

私の太股の上に跨がったレネイは、私の腰の辺りに両手を添えた。

「私が普段どんな苦しい思いをしてるかをね。」

冷たい手の感触が横っ腹に伝わりこの後起こる事を察した。
どうして……どうしてこうなるの!
嫌…もう……嫌なのよ……。

「へっへー!なんだぁそういうかよ。だったら手伝うぜ、ブラジー。」

「そうして頂戴、ランパート。悪い子には……お仕置きしなきゃね。」

「……もうくすぐられるのは!嫌なのよぉ!!!」

最初に感じたのは脇腹からの刺激だった。

「あぎゃぁははははははははははははははははははははははははは!」

もみもみと揉むようなくすぐり。ツボを押し込むようなレネイのくすぐりは、端から手加減なんてしないとでも言いたげに激しかった。

「あああああぁーっ!あああーっははははははははははははははははははははははははははははははっ!いやぁぁぁはははははははははははははははははははははははははーっ!!!」

脇腹の肉を揉みしだき、もみもみと脇腹が形を変える度に伝わる連続的で暴力的な刺激が私を襲う。
内臓を抉られるようなくすぐったさだった。

「ぎゃあぁっはははははーっ!ゃああぁぁぁぁぁぁぁはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははーっ!おがじぐなるぅぅぅぅぅぅぅ!」

腋の下からの刺激も続く。
ランパートは、指の腹で胸の横辺りをぐにぐにとくすぐっている。
ここも本当にくすぐったい。

「ああああああーっはははははははははははははははははははははははははぁ!」

腋の下、脇腹。上半身を余すところ無く全力でくすぐる二人。
一層の事殺して欲しい程、脳味噌が蕩けれてしまう程のくすぐったさ。
私を見下ろす二人の表情はもう涙でよく見えない。

「二人で乗っかってるっていうのにこの暴れっぷりじゃあ、程々にしなきゃ死んじまうな。」

「この程度じゃ死なないわ。休憩も交えながら続けましょ。たっぷりとね。」

「朝になっちまうな、ははっ。」

「もぉぉいやぁぁはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!あーはっはっはっはっはっはっはっはっ!」

ナタリー・パケット、22歳。
初めてのくすぐり地獄はまだまだ続きそうだ。

「残りは私達を除いて一部隊。集中して。」

「くすぐりくすぐられの三馬鹿トリオでまさかここまで残るなんてなぁ、お二人さん。」

「それはこっちの台詞よ!言っとくけど、私はこの前の事まだ根に持ってるわ。絶対許さない。」

「おー怖い怖い。顔をくしゃくしゃにして笑ってて可愛いかったぜ?」

「……うるさい!そもそも貴方があんな事始めなきゃねぇ!」

「お?なんだ、またされたいのかぁ?ほーらこちょこちょこちょ~」

「あぁんっ、ちょっと!あはははは!」

「止めなさい!ちょっとほら、二人共!」

「貴方もよレネイ!覚えてなさいよ!?」

「ちょっ、ナタリー!」

・・・

「……俺の目はどうにかしちまったのか、シェの姉貴。」

「……あんたの目は正常よ、シルバ。」

「……くすぐり合ってる……のか?」

「……そのようね。」

「はっ!んなもん俺には関係ねぇ!とっとと終わらせるぜ!」

「黙れ皮付き共!無駄口を叩いてる貴様らも同類だ!」

「一つアドバイスだ、アミーゴ。速く走りたきゃ先ずはそのふんどしを外しな。」

「ふん。さっさとあのふざけた部隊を壊滅させる。」

「ちょ、ちょっと!もう少しだけ……もう少しだけあの子達の事見ていかない……?」

「ジャンプパッドを放出!」

「影に身を委ねろ。」

「あっ」

APEXのチャンピオンが生まれました


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