ルサルカの逆襲の果て

Last-modified: 2020-11-08 (日) 03:52:54
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ルサルカの逆襲?からの続き

「いやいや、ルサルカさん。久しぶりですね」
「遺言ハソレダケカシラ」
両手を後ろ手に縛られたまま挨拶する俺の前で、ルサルカは殺気丸出しで笑顔を浮かべてる。
家に帰ったら、ロシア旅行の帰りに会った妖怪がいて、即効で捕まるなんて想像つくわけがねー。
おまけに、その横では、胸も体もでっかい女がニヤニヤしてこちらを眺めている。
近づいてきたルサルカが、ヒンヤリとした手で俺の頬を撫でる。
「アレカラ毎日、貴方ノ事ヲ思イ出シタワ。寝テモ覚メテモ忘レラレナクテネ、トウトウ来チャッタノ」
「っくっくく。まるで熱い恋の様じゃのう」
「フフフフ、本当ニ、本当ニドレダケコノ時ヲ待チ望ンだカシラ」
ヤバイね。本当なら、賭けで負けたお前が悪いんだろバーカ、と言いたい所だが。
そんな事したら、ソファの横でピクピクしながら倒れてる妹の二の舞決定だし。
かといって、このまま待ってても、間違いなく俺にとって面白くない事になる。
こうなったら、やる事は一つだけだな。俺は毅然とした態度でルサルカを見返した。
「ルサルカさん」
「何ヨ」
「ゴメンなさい」
「謝ッテ許スト思ッテルノ?」
ですよねー。
「いや、本当に悪いと思ってますよ。確かにあれはやりすぎたなぁって」
「別ニイイワヨ。今カラ貴方ノ体デ払ッテモラウカラ」
ニヤリとでも言いそうな邪悪な笑顔をしたルサルカの右手がウネウネと動き始める。
やばい!やばい!やばい!
このままじゃ、間違いなく死ぬより辛い目に遭わされる。
とりあえず、謝っても駄目っぽい。なら次は媚びるまでだぜ。
「じゃ、じゃあ、お詫びとして宴でも開きますよ。少しですが、美味い酒と料理でも…」
「ダカラソンナ物イラナイッテ……」
「酒じゃと!」
後ろにいた女が反応した。これだ、これを利用するしかねえ!
……焦るな。落ち着け、僕ならできる。
「は、はい。うちの親父が酒好きでして。和洋色々と揃えてます」
「フムフム…」
「あと、俺も料理が趣味でして、ちょっとした料理であるなら作れますけど」
「ほうほう…」
女がゴクリと喉を鳴らし。ルサルカを手招きする。
「……ルサルカ、ちょっと」
「何ヨ」
俺を拘束したまま、ルサルカがレシの方へ顔を向ける。
「まぁ、悪いと言ってるようじゃし、少しは見逃してやってもいいじゃないか」
「フザケナイデヨ!」
「やれやれ、それじゃあ、仕置きは宴の後って事でどうじゃ」
「……アンタハ、タダ酒飲ミタイダケデショ」
「ハッハッハ。で、それでどうかね少年」
ルサルカをスルーして、豪快に笑う大女。
よし、ここは出来るだけすまなそうに。
「そうですね…。ルサルカさんに酷い事したのは事実ですし…、少しでもお詫びが出来るなら構いません」
「……フン。少シハ反省シテルヨウネ」
ルサルカは俺の拘束を解くと、俺を縛っていた自分の腕を元の腕に戻す。
よし、今しかねえ。俺は立ち上がり、急いで部屋から出た。
「それじゃ。お酒用意してきますね」
「言ットクケド、逃ゲタラドウナルカ…」
「分かってます。ちゃんと罰は受けますよ。これはお詫びの宴なんですから」
「早く頼むぞー」
「はーい」

父親の元からくすねて来たブランデーやら日本酒やら、
グビグビと飲み干しながら、レシとか言う大柄な女は親父臭く、声を漏らした。
「くっはー、生き返るのう! 人間の酒はやはり美味い!」
「全ク、イイ加減ニシナサイヨネ」
その横で、ミネラルウォーターを飲みながらルサルカが愚痴をこぼす。
水の妖精らしく、食事は水だけで、事足りるらしい。
「おーい! 酒が足らんぞー」
「はいはい、今すぐお持ちします」
「フフフ、イイ様ネ」
あくせく働く俺の姿を見て溜飲が下がるのか、ルサルカが嬉しそうに笑う。
しかし、よく飲むな。これで瓶5本は空けたぞ。
俺は、ソーセージを炒めていた手を止め、新しく酒瓶をレシの所へ持っていく。
「おお来た来た、ングッングッ。おーい、つまみが足らんぞー」
「はいはい、今お持ちします」
「フウッ、全ク…」
ルサルカがなんとはなく手持ち無沙汰に、小夜の体をなぞる。
まだ気を失ってるようだが、妹の体は敏感に反応し、苦悶の声を上げる。
レシは酒と料理で満足してるし、ルサルカはしばらく、妹で暇つぶししているだろう。
フフフフ、この宴が終わる時がお楽しみだぜ。
俺はにやりと笑いながら、ソーセージを焼くフライパンを跳ね上げた。

その時、ピンポーン。とインターフォンが鳴る音が響く。
「ん? 何じゃ?」
「誰カ来タミタイネ」
「あ、多分、華代姉さんだな」
俺が玄関に出て行こうとすると、ルサルカが俺の袖をつかんだ。
「待チナサイ。誰ヨソレ?」
「あぁ、俺のいとこにあたる人で、時々、様子を見に来てるんです。
 うちの両親、仕事で海外に行ってて、俺と妹しかいないから」
「フーン」
ルサルカは納得したのか、俺の腕をつかんだまま玄関に向かう俺についてくる。
「えっと、ルサルカさん?」
「分カッテルデショウケド、助ケヲ求メラレタラ困ルカラネ」
「もし楽しめそう奴なら、ここに連れて来てもいいしのぅ」
瓶を傾けグビグビと酒を飲み干しながらレシが付け足す。
逃してくれる様な真似するとも思えんので、俺は大人しく玄関に向かい、
覗き窓から来客を確認し、扉を開いて招きいれる。

「華代姉さん、久しぶり」
「ええ、久しぶりね。えっと、そちらの方は?」
腰辺りまで長く伸ばした、黒髪の女性がニコリと笑いかけてきた。
手元に土産物らしい、風呂敷包みを持っている。
俺の横にいるルサルカニは、同じく微笑を返す。
「ルサルカヨ。初メマシテ」
「あら、こんな可愛い子と知り合いなんて隅に置けないわね」
そう言ってクスクスと艶やかに笑う華代姉さんに、乾いた笑いで俺は返す。
「ハハハ…。ところで姉さんは今日は何の用で来たの?」
「あぁ、これをお土産にしようと思ってね」
そう言って、風呂敷包みを掲げる姉さん。
ルサルカはそれを見て、口元を歪め、
「ネェ、セッカクダシ、コノ人モ宴に招待シマショウヨ」
俺の腕を強くつかみながら促す。
どうやら、姉さんを新たな玩具として気に入ったらしい。
「あ、ああ、でも姉さんはどう?」
「あら、私なら構わないわよ」
「ソウ、ソレハヨカッタワ」
無邪気に微笑みながら、ルサルカは俺を応接間に引っ張っていく。
俺はずるずると引きずられながらも、一言姉さんに向かってつぶやいた。
「じゃあ、よろしく頼むね」

応接間に戻ると、相変わらずレシが新たな酒瓶を開けてラッパ飲みしていた。
やがて、それも飲み干したのか、口元を拭う仕草の後、
ようやくこちらに気付いたかのように、やや赤い顔で手を振ってきた。
「おぉ、何じゃ、用はもう済んだのか」
「えぇ。なかなか面白そうなのを連れて来たわ」
「ほぉ? どれど、れ……」
俺とルサルカの後ろから、姉さんが顔を出すのを見て、一瞬、レシは瞳をパチクリとし。
「……ば、ばか! お前!」
慌てて、ソファから立ち上がろうとするも、その隙を逃さず、
姉さんは手に持った三枚の札を、レシめがけて投げつける。
投げられた三枚の札は、途中で鎖に姿を変え、レシをソファに縛り付けた。
「エ? …エ? キャッ!」
電光石火の早業に反応できていないルサルカを、今度は俺がうつ伏せに押し倒し、
姉さんが白い糸で、その足首と手首を縛り上げる。
終わってみれば、わずか数秒の出来事だった。
「ナ、何ヨ。何ヨコレ!」
ようやく硬直状態から覚めたルサルカが芋虫のように身動ぎするが、既に遅い。
念糸によって、ルサルカの力は封じられ、また、鉄の手錠よりずっと強い念糸が切れるはずもなかった。
「馬鹿…もん…。そいつは退魔士だ。キチンと気を探れば分かるはずじゃろうが」
同じく鎖につながれたレシが、苦しそうに説明する。
それを聞いて、みるみる青ざめたルサルカの頭を俺は優しくなでる。
「さて、ルサルカ君。君と初めて会った時の事覚えてるかな?」
「ナ、何ノ話ヨ?」
「あの時、疑問に思わなかったかな。妖精のような異形の存在を前に、俺が動揺してなかった事を。
 そこまで考えが回れば、俺が【君のような存在】と近しいという所まで気付かないはずがないんだけどね。
 いやぁ、携帯電話って実に便利だ。メールとか使えば、簡単に危険を知らせる事も出来るから」
俺の言葉に、ルサルカがカタカタと震えだす。
「マ、マサカ……」
実にいい表情だ。これを待っていたのですよ。僕はね。
ニッコリと微笑みながら、俺はルサルカに一枚の札を見せ付けた。
「些少ながら、退魔士補佐見習いしてます。どうぞよろしく」
「ワ、私ヲ消スツモリ?」
「場合によってはね。でも、安心するといい。俺は優しいからねぇ、っふふふふふ」
そう言って、俺はルサルカの体をひょいと持ち上げた。
小柄な彼女の体は片手で持ち上げられるほどに軽い。
「じゃあ、姉さん、そっちは任せるよ」
「……程ほどにしておきなさいよ」
「ナ、何スルノヨ! 離セ! 離シナサイ!」
ルサルカが喚いてるが、そんな言葉を聞くはずもなく、
俺は鼻歌を歌いながら自分の部屋へと向かうのだった。

自室の鍵をかけ、ビニールシートを敷き、ルサルカをそこに転がす。
抵抗できないように両手足をロープで引っ張って、Iの字に固定。
これで、簡易的な尋問所の完成だよ。わーすごーい。
手足を縛られ、怯えた表情のルサルカが堪らないねワクワクさん。
「さて、君は質問に対して、黙秘する権利がある」
「……フン」
この期に及んでまだ強気な態度を崩そうとしないルサルカ。うーんいいね、実にいい。
「じゃあ、尋問開始。まず、ここに来た理由は? 3秒で答えて下さい。3、2…」
「エ。チョ、チョット早ス…!」
「1。はい時間切れです。グリグリグリ…」
「クッ! クック…キャッハッハハハハッハ!!」
まずは、ルサルカの脇腹、肋骨の辺りを拳でグリグリと責め立てる。
比較的、軽い責めの筈だけど、それでも、一瞬でルサルカの顔が崩れた。
「はい答えて下さいねー。あなたは何故来たんですかー」
「キッキャハハハハハハハハハハッハハ! イヤアアハハハハハハァ!」
頭を振り乱して暴れるが、当然、それで何が変わるわけでもなく、俺の手も止まりはしない。
肋骨グリグリの後は、わき腹をこねくり回したり、脇の下を引っ掻いてみたり、
責め方を変える度に、ルサルカは激しく悶え、笑い狂う。
「キャヒャアァァァ! ギャハッハッハッハッハッハッハアアァ!
 アヒイイィィ! ダメ! クスグッタ……フヒャハハアアアハッハハハアア!」
「早く答えてくれよ。あんまり強情張ると、答えても答えなくても続けるぞ」
「ギャアハハハハハッ! イヒヒヒヒヒヒヒィィィッ! 分カッタ! 分カッタカラ止メェエヘヘヘヘ!」
うむ、ようやく、答える気になったか。
でも手は止めない。脇の下コチョコチョコチョ。
「ヒギャアッハハハハハアッハハ! 答エ…ルカラハアッハハハハハハ! 答エルカラ止メエエヘヘへへエエッテエェ」
「うん、分かったから早く答えてくれ」
「ウハヤアハハハハハハハハッハアハハッ! フ、フクシュウウウゥ! 貴方ニフクシュウスルタ、メェヘヘエヘエヒャッヒャハヤハアアアアア!」

フクシュウ…あぁ復讐ね。ってチョット待て。
「あの謎かけならは俺の勝ちだった筈だけど」
「ヒッ! ヒッヒイイイアアアアアア! ゴ、ゴメンナサアハハハハハヒャヒャヒャヒャ!!」
まぁ、予想は出来てたが、単純な恨みだけで裏はなさそうだ。。
しかし、負けたのに力づくとは、改めて思うととんでもない奴だな。よし、これには罰が必要だ。
「ルールを破るとは悪い子だ。お仕置きとして今しばらく続けるぞよ」
「ヒャ! ソコダメエェェエエ!!」
ワンピースのスキマから手を突っ込み、ツルペタなルサルカの胸を探るように撫でる。
うむ、スベスベお肌が実に心地よい、乳首をつまんですり合わせてみたりして。
「駄目…! フッ……、アッ……ヤアァ……」
「………ハァハァ、やべぇ、これマジでいいわ」
「アウッ…ンッ! コノ……変態……!」
ほほぅ、変態と申したか。生意気な小娘さんめ。
取りあえず、乳首を苛めるのは止めだ。
脇の下の窪みに指を持っていき、ワシャワシャと蜘蛛の足のように掻き回す。
ルサルカの弱点は既に大体分かっている。その中でもここは特に弱い部分なのだ。
「君は、自分の、立場がわかってるのかなぁ?」
「アハハハハハハハハ! ゴ、ゴメンナサッキャッハハハハハハハハハハ! ゴメンサァアアアヒヒヒヒッヒヒヒヒヒ!!」
「もっと心を込めて!」
「アハハッアッハハハハハハハハ! ヤァハハハハハ! ゴメ、ゴメンナサイイイィヤハアハハハッハアアッハハ! 死ヌ、死ンジャウウウゥ! ヒャーッハハハハハハ! ヤ、止メテェ! ゴメンナサァアァイイ! ゴメ…ブハアアサアアイイィィ!」
「もっと本気出せよ! 熱くなれよ!」
「アヒャアハッハッハハハハハアハ! ホ、本気ッテ何ヨォォ!」
「躊躇わない事さ!」
「ヒャハヤアアアアアハハアアハハハハハアッハ! オ、オ願イダカラヤメテエエエヘヘヘヘヘヘ!」
ちっ、ノリが悪いな。ここでそう言って責め続けてもいいんだが、まだ全然尋問してないからな。
さすがに、遊びすぎてたら姉さんにボコられてしまう。
俺はルサルカをくすぐる手を止め、汗とも、体液ともつかないヌメりをタオルで拭き取った。
「さて、では次の質問と行こうか」
「ゼェッ…、ゼェッ…、チョ、チョット待ッテ…」
「そう言われて、君は待った事はあるのかな?」
「ウゥ……」
「君は何故ここに来れた? 確か川辺からあまり離れらないはずでは?」
「ソ。ソレハ…」
「制限時間は5秒です、5、4、3」
「ユ、指輪よ! 指輪ノ魔力!」
「指輪?」
ルサルカの説明を簡単にまとめると、彼女たち水の精霊は、基本的に生まれ故郷を離れられないが、
水の精霊力やら魔力やらが詰められたその指輪の中で休む事で、
遠くへ移動する事が可能らしい。つまり簡易シェルターって事だな。
「で、その指輪はどこだ?」
「………」
コチョコチョコチョコチョ……
「イッヒヒャアアアアアアハハハハハシャハア!!! イ、今出スカラ止メテェエエェェ!!」

ルサルカが目を瞑ってなにやら念じると、青い宝石のはめられた指輪が空中に現れ、
そのまま床に落ちてコロリと転がった。
「ほぉ。面白いな」
「ハァ…ハァ…。オ、オ願イ。壊サナイデ…。ソレガ無クナッタラ私ハ…」
「ああ心配するな。そこまで鬼じゃないぞ俺は」
俺の発言にルサルカがなんとなく、何か言いそうな顔をしたが、結局言葉には出さなかった。
チッ、下手な事いったらまたお仕置きしてやろうと思ったのに。
しかし、綺麗な指輪だ、何となく俺はそれを指にはめてみる。
「おー、ぴったりだ」
「アアァァァァァァァッッ!!!!!」
急にルサルカが叫んだので、少し、ビックリした。
だが、ルサルカの驚きは俺のそれとは比べ物にならないようだったようで。
「ナ、何シテルノヨ! 何デ嵌メチャッタノヨォ!!」
「え? これ嵌めたら何かまずいのか」
やばい、命削られる呪いの指輪とか言われたらどうしよう。
「ソノ指輪ハ精霊ノ契約ノ証ナノ! ソレヲ嵌メタラ、ソノ者ニ仕エナクチャイケナイノヨ!」
「なんだって、それは大変だ! どうすれば契約は解けるんだ?」
「指輪ヲスグニ外シテ! ソウスレバ契約ハ解ケルカラ!」
「そうか、ありがとさん」
「エ?」
いやぁ、契約方法から解約の仕方まで、実に親切に教えてもらっちゃった。
今時、ここまで親切なサポートって、営利会社でもあまりないよね。
「ア……、アアアアアアアアァァァァ!!」
ようやく自分でやった事が、とんでもない間違いだったと気付いたのか。アホの子め。
精霊の言う契約というのは、まぁ、平たく言えば、借家に等しい。
主人は精霊を養い、その代わりに精霊は主人に力を貸す。
まぁ、価値観の違いはあれど、概ね人間が得する話だ。
その分、契約を破れば命を取られても文句言えないし、そもそも、そんな物好きな精霊はかなり少ないのだが。
「クックック。という事はこの契約で、俺は君のご主人様となったわけだな」
「ア、ァァ…」
呆然としてるな。無理もない。
復讐しに来たのに、その相手に仕える事になるなんて夢にも思うまいて。

「さて、それでは、続きといこうか」
「チョ、チョット待ッテ…、モウ、私ハ限界……」
「契約は成されたが、まだ、お仕置きは終わってないからな。
 ついでだから、最後まで行っておこう」
俺がルサルカの足を抱え上げ、太ももから足先まで軽くなぞり始めると、
ルサルカは芋虫のように身じろぎし、悲鳴を上げ、泣き叫んだ。
「キャハハハハハハハッ! モ、モウ止メテエェッ!!
 イッソ…、一思イニ殺シテエェェッ!!!」
「ハハハ、何を馬鹿な事を。貴方は死なないわ。私が殺さないもの」
「ヒッ、ヒイィィィィッ、ア、アヒャヒャハヒャヤハハアアアアアアッ!!」
ゆっくりとナメクジが這うようなスピードで何度も指を往復させ、そのたびにルサルカは嬌声を上げる。
それが30に達した所でルサルカの体がビクンと大きく跳ね上がり、その股間から水溜りが広がっていった。
どうやら、意識を完全に失ってしまったみたいだな。
まぁ、そうなるのを見越して、ビニールシートを敷いていたわけだが。
このまま責めてもいいんだが。それでは流石に可愛そうだし。

少し休ませてから本番と行こう。

「ア、アア…、モウ嫌ァ……」
数分後、意識を取り戻したルサルカは、俺の顔を見ただけですっかり怯えてしまったようだが。
まぁ、心配要らない。その方がやり易い色々と。
「さて、ルサルカ君。最後の確認だ。嘘をついたら分かっているね」
コクコクと、涙目で頷くルサルカ。さすがに、調教の成果が出ていますね。
「もう一度聞くが、ここにきた理由は謎解きの際の復讐に間違いないな」
「ソ、ソウヨ…」
「う~ん、まだ仕置きが足りないかな」
「イヤアアアアアア! ソ、ソウデス! ソウデス! ゴメンナサイゴメンナサイ!」
手をワキワキさせただけでこの怯えよう。あぁ、可愛すぎる。
しかし、まぁ、愛でるのは後の楽しみに取っておこう。質問を続ける。
「あのレシってのは仲間か?」
「ハ、ハイ。森ニ棲ム悪魔レシエス。私ノ友人デス」
「他に仲間は? お前たちが戻らんと追っ手とか来ないだろうな」
「仲間ハイマセン…。ソレニ貴方ノ匂イヲ知ッテルノハ私ダケデス…」
「本当かよ。精霊は仲間意識が結構強いって聞くぞ」
「コンナ辺境マデ追ッテクル仲間ハイマセン…」
「フム…」
まぁ、という事はこいつら抑えればしばらくは大丈夫と言う事か。
とりあえず、情報はコレで十分だな。
「じゃあ、戻るかね」
「ヒ…、イヤ!」
俺の伸ばした手を振り払うようにルサルカは暴れる。
ちょっと傷ついた。
「別に、俺はもう苛めんよ。心配すんな」
「ホ、ホントデショウネ? 精霊ニ嘘ヲツイタラ…」
「あぁ、心配すんな。俺はそこまで鬼じゃない」
尋問もとりあえず済んだし、ルサルカを小脇に抱え上げ居間に戻る事にした。
そろそろ、向こうも終わってるだろう。

「あら? そっちも終わったのね」
玄関先で華代姉さんとゲッソリとしたレシに出くわしちょっと驚く。
が、それ以上に、驚いたのはルサルカだった。
「レ、レシ? 何ヤッテルノ?」
「お、おぉ。ルサルカか、まぁ、なんだ…、しばらくこの娘に仕える事になった」
「ハァ!? 何デソンナ事ニナルノ! アナタ悪魔ノぷらいどトカ無イ……フヒャア!」
声がうるさかったので、肋骨辺りをグニっと揉んで黙らせる。
なんか、涙目でこちらを睨んできたが、まぁ無視だ。
「一応、この二人だけらしいですよ。姉さん」
「そう。でも、一応結界は張っておいたわ。それで、その娘はどうするの?」
「とりあえずコッチで何とかしますよ。ご苦労さんした」
「別に構わないわ。こっちも高等悪魔を一人、式に出来たから」
「なんじゃ、お前さんも人間の手に落ちたんじゃないか」
「ウルサイウルサイ!」
「ほら、けんかは後にしなさい。もう行くわよ」
華代姉さんはレシを引っ張ると、軽く手を振って出て行った。
それを見届けてから、ルサルカが顔を俺に向けて尋ねる。
「…ネェ、アノ人何者ナノ」
「ん、退魔士だよ。ただ、普通の退魔士と違ってああいう風に強制契約できるんだけど」
「強制契約?」
「そうそう、まぁ平たく言えば、相手を負かせれば仲間にできる。ドラやポケ的退魔士なのさ」
「ウウゥ……、ソンナ…」
かなり意気消沈としてしまったようだ。
あのレシがルサルカが逃げられる最後の望みだったわけだし、
それがあっさりと破れたせいか、無理もないな。
「まぁ、そんな風に落ち込むなよ。ここも慣れれば悪い所じゃないさ」
「ドノ口デアナタガ言ウノ…」
「こんな口ですー、目が見えないんですかー」
「ムキィーー!!」
ハッハッハ、いやコイツからかうの面白いわ。
だが、その前にもう一つやらなきゃいけない事があったな。
「そう言えば、ルサルカ君」
「ナ、何ヨ…」
「君は妹を色々可愛がってくれたね、そのお返しをしておこうと思う」
「ヒ…、モ、モウ嫌…」
完全におびえ切ってしまってる。少しやりすぎたかも知れんなぁ。さすがの俺も少し反省だ。
「そう心配するなって。俺はもう手を出さん。妹に5分ばかしお返しさせるだけさ」
「ホ…、本当ニ5分ダケデショウネ…」
「そうそう、5分だけだ」
ルサルカは少し逡巡したようだが、
5分程度ならどうにかなると思ったのか、コクリと頷いた。
「それじゃ、改めて紹介を兼ねて、妹の所にいきましょうか」
俺は今のドアノブに手を掛け、ルサルカの耳元で一言つぶやいた。

「ただ、妹は俺の数十倍テクニシャンだけどね」
やりすきたからこそ、更に一歩踏み出すのが俺流。

それから、数分後、
ルサルカの死にそうな笑い声が家中に響く事になるのだが。
それは、また別の話である。


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