■第2章 少年ピコのくすぐり遊び
■第2章 少年ピコのくすぐり遊び■
ナミ「きゃぁぁっはっはあははっははははははっはははーーー!!くすぐったいいいいっひっはっはっはっはーー!」
「く、くるしぃぃぃぃぃぃーー!!!!ひゃぁぁっはっはっはっはっはっははっはっはっはーーーー!!」
「助けてえぇえぇぇーー!!!誰かあぁぁぁはっはっはっははあは!!助けてぇぇええっはっははははははははーー!!」
「いやああぁぁははっはははあ!!もういやぁーーっはっはっはははははははははっははーーーー!!!」
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ナミ「……はっ!! はぁ……はぁ……はぁ………………」
ナミは最初に入っていた牢屋の中で目を覚ました。悪夢をみていたようだ。散々くすぐられた後だ……夢に出てきても不思議ではない。
全裸のままだが、今度は手足に枷は付けられてなく自由に動かせる。しかしだからといって牢屋から出れるわけもなく、
囚われの身という状況にさほど変わりはなかった。
静かな時間だ………ナミ冷静になり、出来事を振り返ってみた。
ナミ「(そっか………私……くすぐられて……………奴隷になるって言っちゃって……………それで…………気絶して…………)」
「(…あいつら………拘束して………あんな大勢で……いいように私に身体を弄んで……………)」
「(だいたいくすぐりってなによ……………この変態集団!!…………そりゃすごい辛かったけど………………)」
ナミはだんだん腹が立ってきた。身体を好き放題弄んだこちょこちょ海賊団はもちろん、屈服してしまった自分に対しても腹が立った。
しばらくすると、イライラしているナミのもとにアランがやってきた。
アラン「もう目が覚めているんですか……」
ナミ「…………あんた……………………絶対許さない……!!」
ナミがアランを睨みつける。ナミは強気な気持ちを取り戻していた。
アラン「おやおや、奴隷の発言とは思えない言葉ですね………我を忘れ、あんなに笑い狂って、泣きながら許しを乞いでいたのに……」
「覚えていますか?………あなた……気絶する際、失禁したんですよ?……それに気絶したあとも弄ばせてもらいました……」
「面白いものでしたよ………意識はないのに腋をつつくだけでビクビク反応して…………」
「本当に5年前のお礼ができて、最高でした。」
ナミ「うるさいっ!!」
アランのいやらしい話に対し、顔を赤らめながら怒鳴りつけた。
アラン「まぁ強気な奴隷は好みです。それに正直あなたが奴隷になるかならないかなんて、どうでもよかったんですよ……」
「どんな態度を取ろうと、こちょこちょ海賊団はあなたを決して逃がさないし、くすぐることも決してやめないのですから……」
ナミ 「……くっ………」
ナミは言葉が出なかった。どんなに腹を立てようが、強気な態度をとろうが、何もできないことを思い知らされたのだ。
アラン「では………私も疲れたんで寝ましょうかね………あなたのおかげで宴は大盛り上がり………みんな酔い潰れてしまいました。」
「誰もあなたをくすぐる者がいないこの時間はきっと貴重ですよ?」
「みんな目が覚めたら、行列を作って休む間もなくあなたをくすぐるでしょうからね……」
「せいぜい有意義に過ごすことです…………うふふふふふ…………」
怪しげに笑いながら、アランはゆっくりと去って行った。再び静かな時間が訪れる。
ナミ「(……今奴らはみんな寝てる……………逃げるなら今しかない……………明日になったら終わりだわ……)」
そう思うと、ナミは牢屋からの脱出を試みる。しかし、ナミの力ではビクともしない。鍵穴はあるが、開ける方法も見つけられないでいた。
ナミ「(せめて針金とかかあれば………くっ………脱出できない……)」
「コツ………コツ………コツ………コツ………」
ナミ「(!!? 足音?………誰か近づいてくる…………)」
ナミは危険を感じて身構える。足音はどんどん近づいてきて、ついに牢屋の前まで来た。
しかしその正体は小学生くらいのかわいい男の子だった。しかも驚いたことに、その小さな両手にはなぜかナミの服が抱え込まれている。
ナミは少し戸惑った。この子は何者なのか……なぜ自分の服をもっているのか……何をしに来たのか……
わからないことは山ほどあった。
ナミ「………あなたは……誰?」
ピコ「僕はピコ!!こちょこちょ海賊団の一員だよ!!おねえちゃん!服持ってきてあげたよ!!」
こちょこちょ海賊団の一員と聞いた瞬間、ナミは敵と判断したが、とりあえず様子を見ることにした。
もしかしたら脱出の鍵になるかもしれないと考えたのだ。
ナミ「………何をしにきたの?」
ピコ「服持ってきてあげたんだって!!ここ寒いでしょ?……ちょっと待って……今渡すね!!」
ピコはそう言うと牢屋の鍵を開け始め、中に入ってきた。ナミはわけがわからなかったが、逃げ出すチャンスは今しかないと確信した。
ナミ「(………牢屋の鍵は空いた……………相手は子供……………いける!!………とりあえず服を着たらすぐにでも……)」
ナミはピコから下着・Tシャツ・スカートを受け取り、すばやく身につけるとさっそく行動に移った。
ナミ「ありがと……ねっ!!!」
その言葉と同時に、ピコの頭目掛けて右足の蹴りを放つ。しかしピコの頭に直撃する寸前、ナミの右足はピタっと止まってしまった。
右足だけではない。身体全体が石のように固まってしまっていたのだ。
ナミ「なっ!!?」
ピコ「ひどいよ~!おねえちゃん!!いきなり蹴ろうとするなんて~!!びっくりして能力使っちゃったじゃんっ!!」
ナミ「能力!!?………まさかあんた、悪魔の実の!?」
ピコ「そうだよ☆カチカチの実の能力者!!目に見える範囲の人を石のようにカチカチに動けなくしちゃうんだっ!!」
確かにナミは今、身体を1mmだって動かすことができず、本当に石のようだった。ピコは真横で蹴りの形のまま固まってしまっている
ナミの右足の裏を小さな手でさわさわとくすぐり始めた。
ナミ「くくふふ……ちょっとぉおっはっははっはっは……やっひゃはっはっは………」
ピコ「あはは☆くすぐったいでしょ?別に石のようにって言っても、感覚はいつも通りなんだよっ!!」
「それに実際に身体が固くなるわけじゃないんだぁ!!ほら……おねえちゃんの足、ぷにぷにだよ!!でねでねぇ……」
ピコが楽しそうに能力の説明をし始める。小さい子供が自慢話をするときのようにテンションが上がっていき、止まる気配がまるでない。
しかもそれをくすぐりと並行して行っているのだから、なかなか悪質である。ピコもこちょこちょ海賊団の一員であり、くすぐりが大好きだったのだ。
ナミはくすぐりから逃れるため足を暴れさせようとしたが、カチカチの実の能力により全く動かせず、何の抵抗もできないまま
さわさわとくすぐられ続けた。
ナミ「くっくくふふふひゃっはははは……わかったからっはっは……やめなさいよぉっはっはっははは!!」
ピコ「カチカチになってる本人以外の人なら簡単に身体を動かせるんだよ!!すごいでしょ!?」
そう言うと、ナミの蹴りを放つ際に若干折り曲げた足の指をくいっと反らせ、それぞれの指の間がつかないように開いてみせた。そして足の指が反らされ美しい曲線を描くナミの土踏まずや指の付け根をまたこちょこちょとくすぐり始める。
ピコ「こちょこちょこちょ………どう?おねえちゃん!!足の裏はやっぱこの形が一番くすぐったいよねっ!!!」
ナミ「くっくくすぐったあああぁぁぃぃ!!うっくはは……きゃはははっはははっはああああ~~!!」
「やっっはっははっは~~!!いいかげんに…くくふふ…しろぉぉっははっははははっはっはあ~~!!!」
ピコ「おねえちゃん、僕にそんな口を聞いてもいいのかなぁ?お仕置きしちゃうっ☆」
土踏まずや足の指の間など敏感なところを中心に、ピコの指が隅から隅まで這い回る。足の指を反らされ、指を開かれた状態からピクリとも足を動かせないため、少しもくすぐりの手から足を離すことができないナミは、ただ笑い苦しむことしかできなかった。
ナミ「きゃぁぁっはっはあははっははははははっはははーーー!!くすぐったいいいいっひっはっはっはっはーー!ひゃぁぁっはっはっはっはっはっははっはっはっはーーーー!!」
ピコ「おねえちゃん、くすぐり弱くって面白いなぁ☆ じゃあ次はどうしよっかなぁ~~!!」
数分たった今もなおナミの足の裏をくすぐり続けているピコが、まだまだといった口調で言った。ナミはいまだ蹴りを放ったときのポーズのまま、
カチカチの実の能力により少しも動けず固められながら、足の裏から伝わるくすぐったさに笑い続けている。
ナミ「きゃはっははっはははあはっはっくくくく……くふふぃひひひひひ……はやくやめなさいよぉぉぉぉ!!!」
ピコ「移動開始~~☆」
その言葉と同時にピコの指は、ナミの細い足を撫でながらゆっくり登っていき、膝まできたところでその移動をやめた。
そして右手で膝小僧を、左手で膝裏を、触れるか触れないかのソフトタッチでさわさわとくすぐり始めた。
ピコ「ここはどうかなぁ~?こちょこちょこちょ………」
ナミ「はひっ!?ひゃっははっははは!!んんんんんっふふっふふふふふふ!!」
ナミは今にもピコのいやらしい手をはじきたくてたまらなくなるようなくすぐったさに、笑い声を上げながら悶え苦しんだ。
しかしどんなにその足に力を込めても、全く動かすことができず、それをいいことにナミの膝を徹底的にくすぐり続ける。
ナミ「きゃっはっはははっは!!く……くすぐったあああいぃっひっひひひひひひ!!!」
ピコ「あはは☆楽しいなぁ!!おねえちゃん、膝もすっごく弱いね!!」
ナミをくすぐり笑い悶えさせることに楽しみを感じているピコに対し、ピコを楽しませたくないナミは必死に我慢しようとするが、
膝から流れ込むくすぐったさに耐えかね、強制的に笑い声を生み出されていく。
ナミ「やっはははっははは……!!やめてってええぇぇ言ってるでしょおおぉぉっははははっはっはあ~!!」
ピコ「もう一回、移動開始~~☆」
ナミの言葉を無視してくすぐり続けるピコの手は、膝からさらにセクシーな足を登っていき、今度は太股の内と外を両手で撫で回し始めた。
ナミ「あっははははああぁぁんんん!!いやぁ~!!いやぁっははははっふっくくくっふふふふひひひ~!!」
ピコ「こちょこちょこちょ………こちょこちょこちょ………ここも弱いのかなぁ??」
敏感な太股を撫で回され、ぞくぞくと鳥肌が立つようなくすぐったさがナミを襲う。ピコの10本の指は石のように固まっているナミの
ムチムチとした太股を適度な力加減でくすぐり続けた。
ナミ「くすぐったいいいぃぃ~!!ひっひひひひひひ……なんで……なんで動けないのよおぉぉぉぉ~!!」
ピコ「おねえちゃんの反応は本当に面白いなぁ☆ 今度はこれなんてどう??」
そう言うと、ピコのいやらしい10本の指は、その動きを止めることなくナミの短いスカートに潜り込み、足の付け根まで登ったかと思うと、
ゆっくりと膝・ふくらはぎを通って、足の裏まで降りてきた。そうしてこちょこちょと指を動かしながら、足の付け根と足の裏を
何度も何度も往復させた。
ナミ「いやあっ!!いやあぁんっ!!!きゃっはあはははははははっははっはははあああ!!やめてぇぇぇぇぇ!!」
ピコ「あはは☆やっぱり効くみたいだねぇ!!しばらく続けてあげる☆」
ピコはその後もナミの右足全体をいいようにくすぐり続けた。しばらくすると、ピコはエレベーターごっこと称し、足の付け根へ登るときには
「上へ参ります☆」、足の裏へ降りるときには「下へ参ります☆」といちいちエレベーター嬢のようなことを言うようになった。
またときどき足の裏や足の付け根、膝、太股などくすぐりに敏感なところで止まると、おそらく呼ばれていないエレベーターを表現しているので
あろう、「お客を待っています☆」と言いながら、同じ場所を執拗にくすぐったりもする。
こうしてピコは、ナミを挑発しながら笑い狂わせ、楽しむことをやめなかった。
ピコ「こちょこちょこちょ………こちょこちょこちょ………おねえちゃんの足、すっごいスベスベでくすぐりやすいよっ☆」
ナミ「いやぁっはっはははははああんたああはは!!いいかげんにぃぃっひひひっしないとおぉぉっはっふふふっぶっとばすわよおお!!!」
ピコ「ど~やってぇ~~??」
どんなにくすぐったくても悔しくてもピコのカチカチの実の能力で全身を固められているナミには、抵抗することも逃れることも、ましてや
ぶっとばすなど到底できないことであった。
ピコ「ん~っと……次はどうしよっかなぁ~~!!」
ナミのきれいな足を存分にくすぐり楽しんだピコは、いったんくすぐりをやめると、再び次にくすぐる場所を考え始めた。
ナミ「はぁ………はぁ………はぁ………はやく……この能力をといて!!」
ピコはその言葉が聞こえてないかのように無視し、今度はナミの左足へと歩み寄ってきた。激しい嫌悪と若干の恐怖があったが、
カチカチの実の能力で全く動くことはできない。
ピコ「えいっ☆」
その掛け声と同時に、ピコはその左足を蹴り払った。左足はナミの身体の軸となっているため、失えば当然尻もちをつく。
ナミ「痛っ!!こっ…このガキっ!!」
ピコ「こわいよ、おねえちゃん………今能力解いたら、絶対また蹴ろうとするでしょ~?」
ピコは今度はナミの両腕を持ち上げ始める。どんなに力を込めても全く動かせなかった腕が、ピコにより軽々動かされる。
ナミは小さな子供に人形のように扱われていることが本当に悔しかった。
結局ナミの身体は両手は真上に、両足は前に伸ばして、座っているL字の状態にされてしまった。
そしてピコは背後に回り込み、ナミの強制的に曝け出された腋の下をくすぐり始めた。
ピコ「こちょこちょこちょこちょ…………お次は腋の下だよ☆おねえちゃん!!」
ナミ「くっくっくううははっはははあああ~~!!やめええぇぇぇ~~!!やめてえぇえええぇぇ~~!!」
「いやっっははははははは!!ははっはははっっはははっはははあああ~~~!!!」
ピコ「あれれ~☆おねえちゃん!!ここは特別弱いのかなぁ??」
Tシャツの上からでも耐えがたいくすぐったさに、ナミはたまらず笑い狂った。宴で特に集中的にくすぐられ、またコチョコチョの実の
能力により、強烈なくすぐったさを覚えてしまったナミの腋の下は、異常なほどくすぐりに対して弱くなってしまっていたのだ。
ピコ「ほらほら、おねえちゃん!!そんなにくすぐったいなら、はやく腋閉じなきゃっ!!」
ナミ「きゃぁぁぁぁっはっはっはっはっはっはっははっっはあ~~!!あんたのぉぉ!能力のせいでしょっはははははああ!!!!」
「はやくぅぅぅ!!いやぁっはっはっはあ~!!はやく解きなさいよおおおぉおお~~!!!」
ピコ「じゃあ能力を解くコツを教えてあげるよ!!おねえちゃんの本気の力で腋を閉じようとしてみて?」
「僕の能力は人の本気の力には勝てないみたいなんだぁ!!」
ナミはそれを知ると、今まで以上にめいいっぱいの力で腋を閉じようと、身体を動かそうと必死に努力する。それでもナミの身体は
L字のまま全くピクリともせず、くすぐらせてはいけない弱点を曝け出し続け、くすぐったいという感覚だけが休みなく送り込まれた。
ナミ「あひゃはははははぁぁっぁくっくふふひひひぃぃ!全然んんん!!動けないじゃないのよおっははははははははあ~!!!」
ピコ「おねえちゃん!!力がまだまだ足りないよっ!!頑張って~!!」
ピコはそう言いながらどんどん指の動きを激しくしていく。ナミは顔を真っ赤にし、渾身の力で動こうとするが、やはり動けない。
こんなナミの渾身の力を込めながらの悶笑と、ピコの応援しながらのくすぐりが10分ほど続いたとき、ピコが突然くすぐるのをやめた。
ピコ「はぁ………僕もうくすぐるの疲れちゃったなぁ………」
いまだ両手をピンと真上に、両足を前に伸ばした状態のナミは、呼吸を整えることに必死だった。
ピコ「じゃあもうひどいことしないって約束するなら、僕が解いてあげるよ!!」
ナミ「はぁ……わかったわよ……はぁ………もうしないから…………」
ピコ「本当だね?次またひどいことしたら、またカチカチにしちゃうからねっ!!」
そう言ってピコが指をパチンと鳴らすと、石のように固まっていたナミの身体は元通りに戻り、散々力を込めながら笑い続けた疲労で
床に倒れこんだ。そしてそれを見たピコが楽しそうにある告白をし始めた。
ピコ「ごめんね、おねえちゃん!!僕ウソついちゃった☆ 実はカチカチの実の能力は僕以外の人じゃぁ絶対に解けないんだぁ!!」
「顔を真っ赤にして力を込めてたおねえちゃん、すっごく面白かったよっ!!」
こんな子供に騙され弄ばれたナミは今にも殺してやりたいくらい激しく怒りを覚えた。しかし疲労で動けないことと、ピコが
皮肉にも凶悪な悪魔の実の能力者であることで、ナミは睨みつけることしかできなかった。
ピコ「ところでさぁ、おねえちゃん!僕のお願い1つ聞いてくれる?」
「下にある僕の研究室までちょっと付き合ってほしいんだぁ~!!」
ピコがこんなことを言う。お願いといっても怪しい予感しかしなかったが、一番引っかかったのは「僕の研究室」というところだった。
激しく消耗した体力も少しずつ回復してきたナミは、こんな子供が研究室を使っている違和感と、そんなところで一体何をしているのか
という疑問を抱き、ピコに尋ねてみる。。
ナミ「研究室?……………あんたは一体何者なの?」
ピコ「僕はこう見えても研究者なんだぁ!!コンピューターもできるし、すっごく頭がいいんだよっ☆」
「宴のときだって僕は研究室にいて作業してたんだよ!でねでね!ついに新しい作品が完成したんだぁ!!」
まさに、親に自分の頑張りを見てほしい、褒めてほしいと願う子供だった。
それにしてもこんな子供が本当に研究者だったとは、と驚くと同時に、今度は「作品」について聞いてみた。
ナミ「………作品って何よ?」
ピコ「それは来てからのお楽しみっ!!!…………それにおねえちゃんもここから出たいでしょ~??」
ナミは核心をつかれた気分だった。確かにこの牢屋から出れる唯一の機会ではあったのだ。それにピコのような子供に対しお願いを
聞かなかった場合、ダダをこねるというのは容易に想像できた。そうなるとまた何をされるかわかったものじゃない。
ナミはとりあえずピコのお願いを聞くことにした。
ピコ「ホントにっ!!やったあ~☆ じゃぁついてきてっ!!」
ピコとナミが牢屋を出た。ピコが前を歩き、その後ろにナミが続いて歩いていく。
ピコの背後をとっているナミはこれなら一撃で倒せるのではないか、逃げ出せるのではないかと考えてはいたが、唯一の障害は
やはりピコのカチカチの実の能力だった。さきほど散々翻弄され、次またひどいことしたら……と釘を刺されていたので、
なかなか行動に移すことはできず、静かにピコの後ろをついていく。
少しして階段を降りる。それにしても、巨大なガレオン船だろうか……とてつもなく大きな船だ。
階段を降りた正面の扉のところでピコは立ち止った。
ピコ「おねえちゃん!!ここだよっ!僕の研究室!!」
そういうとピコは扉を開く。ナミの目にピコの研究室が飛び込んできた。
巨大な部屋に、20台近くのコンピューター、たくさんの資料・機械、ピコが使っていると思われるベッドなどもある。
しかし最も目立つのは部屋の真ん中の大きな立方体の機械だった。
何にしてもこんな子供が扱っているとは到底思えないものばかりである。ナミは純粋に驚いた。
ナミ「!!?…………これ………全部あんたの………??」
ピコ「そうだよ!!僕が作ったたっくさんの作品☆ でねぇでねぇ新作は……あれっ!!」
ピコが指差した先は、やはりというべきか……最も目立っていた、部屋の真ん中の大きな立方体の機械だった。
一辺8mくらいはあるだろうか………よく見ると何やら入口のようなものがあり、一軒の家のようだ。
ピコ「来て来て~☆おねえちゃん!!」
ピコがはしゃぎながらその入口へと入っていく。安易に行動が取れないナミも仕方なくピコの後に続き、入口へと入った。
驚くべきことにその機械の中は何もない、ただの一室であった。壁が厚くできているのか外見よりも小さく感じられる。
機械の中に何があるのかと身構えていたナミは少し安堵したが、いまだこの機械が何であるのかさっぱりわからないため、
完全に気を緩めることはできなかった。
ピコ「ここはね!!コチョコチョの部屋☆ コチョコチョの実の能力を空間化した部屋なんだぁ!!それでねぇ……」
ナミ「っ!!??」
この言葉を聞いた瞬間、ナミの顔は一瞬で青ざめた。
ナミは宴でコチョコチョの実の能力により散々弄ばれ、その恐ろしさを嫌というほど味わってしまっていたため、その実の名前を
聞いただけで、危険を感じるようになっていたのだ。
ピコの背後にいたナミは、話の途中だったが、たまらずこの機械を飛び出し、さらには研究室をも飛び出して、全力で逃げ出した。
ピコ「今まで研究に研究を重ねて、能力のしくみを解析して、やっと昨日完成させたんだよっ!!」
「たっぷり味わっていってね!!おねえちゃん☆……………あれ??………おねえちゃん……!??」
ピコが振り返ったときにはもうナミの姿はない。すでに研究室を出たナミはこの大きな船の中を全力で駆けている最中だった。
ナミ「(…………やばい!………あの機械………それにあのガキ………絶対やばい………………!!)」
「(でもアイツが自慢話に夢中になっているおかげで助かったわ…………これだけ離れれば能力は使えないはず……)」
「(………きっと私の方が足は速い……………このまま船を下りれば………!!)」
途中、ナミの閉じ込められていた牢屋をも横切った。ついに脱出のチャンスを手にしたと思ったナミは、
ピコから、そしてこちょこちょ海賊団から逃れるため、必死に走っていたが、突如その身体に異変が起こった。
ナミ「やはっ?あっあははっ……ふぅっっくくくくうくっくくくくくくく………」
ナミは突然全身をくすぐったさに襲われ、立ち止ってしまった。笑い狂ってしまうほどではなかったが、ナミの動きを制限するのには
十分すぎるくすぐったさだった。見たところナミにこのくすぐりを与えている源は全くない。それでも絶え間なく刺激を送られ続け、
わけがわからないまま、身体を震わせる。
ナミ「ひぐっうっく……くくふ……くすぐったいぃぃ………!!な、何よおぉおおこれえぇ………!!!」
ピコ「おねえちゃ~ん!!おねえちゃ~ん!!………あっ!!いたいたぁ!!!」
ピコが走って追いかけてくる。ナミはまた逃げようとするが、全身を襲うくすぐったさに翻弄され、よろよろとしか走ることができない。
結局逃げることはできずに追いつかれてしまった。
ナミ「くっくく……あんた………く……っくくくくっひひっはは…………何を………くく……したの………んん!!んふふ!!」
ピコ「効いてる効いてる☆これも僕の作品!!くすぐり首輪だよっ!!!」
ピコの言葉にナミは身体を震わせながら自分の首元を確認するが、首輪らしきものは見つからない。それにいつそんなものを付けられたのか
全く心当たりもなかった。
ピコ「ダメダメ☆ 透明だから見えないし、触れないよっ!!」
「はじめにおねえちゃんに服を渡してあげたでしょ?実はおねえちゃんのTシャツの首元に仕込んどいたんだぁ!!」
「最初はゴムみたいに伸縮するんだけど、人間の首を感知したら、がっちりセットされるの!!」
「遠隔操作っ☆ボタン1つで発動っ☆ 頭から足の指の先まで全身くすぐったいって感覚を脳に直接送り込むんだよっ!!」
ナミはあのとき何も警戒せず、安易に服を来てしまったことを後悔した。透明で触れないということは外せないということだ。
それに脳に直接感覚が送られているのであれば、耐えるとかそういう問題ではない。
ナミ「うくっくくくく………そんな………っくくくくっひひっっはっはやく………止めなさいよぉぉ………」
ピコ「僕の研究室の戻ってきたら止めてあげるよ☆じゃあ僕、先に行って待ってるから、おねえちゃんも早く来てね!!」
「ちゃんと自分の力で戻って来れるようにくすぐったさも調整してるんだぁ!!」
「それに急いで来てくれるように、時間が経つにつれてどんどんパワーアップするようにしたんだよっ!!!」
「僕って頭いいでしょっ!? それじゃっ待ってるからね!!」
そう言うとピコはまた走って行ってしまった。ナミはパワーアップしてしまうと聞いて、くすぐったさに襲われながらも急いで
ピコの研究室へと向かう。まるで主人のもとへ帰っていくかのようで、まさに「首輪」といえるものだった。
身を震わせながら走るナミの身体についに異変が起きた。1度目のパワーアップだ。
ナミ「あひゃっ!!……くっくっくっくふふ……!!!んんんんふふふっひっはっは……!!」
強くなったのは少しだったが、突然の変化にたまらず声を上げる。全身を襲うくすぐったさをなんとかしようと、
両手で自分の身体を締め付けるが、脳に直接送られているこの感覚には全く干渉できず、緩和することは少しもできなかった。
抵抗の余地はない。このくすぐりから解放されるための方法は、ピコの研究室に辿り着くこと以外存在しないのだ。
ナミ「ひひ……きゃはあ………きゃっはっ!!!あっくぅふっふふ!!……くっくっくはぁっは!!」
ナミは無駄な抵抗と知りながらも両手で身体のあらゆる部分をこすり、噛み殺そうとしても溢れ出てしまう笑い声を上げながら
よろよろと走る。そんなナミに対し、追いうちをかけるように2度目のパワーアップが発動してしまう。
ナミ「ひゃっはっ!!……くっくっくっく、くはぁあああああああ!!!あっはっはははは………くふぅ……いやぁ!!」
また少し強くなったくすぐったさは強制的にナミから笑い声を絞り出していく。くすぐりから逃れるためピコの研究室へと急ぐが、
そのスピードはどうしてもこのくすぐったさにより制限されてしまう。
逃げているときには短く感じられたこの距離が、今では気が遠くなるほど長い距離に感じられ、少しずつだが着々とナミの
精神を蝕んでいった。
ピコ「んん~~おねえちゃん!!……早く来ないかなぁ!!」
研究室の扉のすぐ前で待っているピコが、まるで大好物を待ちわびるように言う。するとその言葉が聞こえていたかのような
タイミングで扉が開き、ナミが戻ってきた。
ピコ「あっ!!おねえちゃん☆ おかえりなさいっ!!」
ナミ「いやぁっはっはっは………くっくっくふひひひゃっ………ひゃはっはっはっは………んんくふぅっふっふ……」
すでに3度目のパワーアップを終えており、そのくすぐったさは耐え難いものになっていた。くすぐったいという感覚を
休みなく送られ続けているナミは、顔を真っ赤にしながら両手で自分の身体を締め付け、その身をぷるぷると震わせている。
ピコはそのナミの姿を見て、ものすごく満足そうな笑みを浮かべていた。
ピコ「あはは☆おねえちゃん、すっごくくすぐったそうだねっ!!」
「ぷるぷる震えちゃってさぁ!!ねえねえ!!何回パワーアップしたの~?」
ナミ「うっ……くふふふふ……うっさいわねぇっっくっはっはははは……」
「きぃっひゃっははっはっはっはっははやくっくっくふふ…………とめなさいよぉぉお!!」
ピコの挑発的な言葉に怒りを覚えながら、くすぐり首輪を止めるように言う。笑い声から絞り出したその言葉を聞くと、
ピコは手に持っていた小さなボタンを押し、ナミを耐え難いくすぐりから解放した。
ナミ「はぁ……はぁ……」
ピコ「あはは☆なんかもっともっとくすぐり首輪で遊びたくなっちゃったな!!……ちょっとここで待ってて!!」
ピコがそう言うと、研究室から飛び出していってしまった。ナミは逃げ出してもまた同じことの繰り返しになることがわかっていたので、
呼吸を整えながらその場で待つしかできなかった。
少しすると、ピコがどこからか戻ってきた。そして楽しそうに喋り出す。
ピコ「今ね!おねえちゃんが閉じ込められてた牢屋に1つボールを置いてきたんだぁ!!」
「僕さぁ!前から可愛いペットと遊んでみたかったんだよねっ!!」
「それっ☆ よーい、ドンっ!!!」
そう言ってピコは手に持っていたボタンを押し、またくすぐり首輪を発動させた。再び脳に送られたくすぐったさに
ナミの身体がビクっと反応し始める。
ナミ「はひっ!!?………くくく………うくっくくく……な……何を!!?……くひひひ……」
ピコ「ボールを取ってくるんだよ~!!ほら、ペットと遊ぶときってこうやって遊ぶでしょ?」
ナミ「だ………くくふふ……誰がペットよ……んん……ふふくっくっくっく……」
ピコ「おねえちゃんに決まってるでしょ~? ほら、早くしないとくすぐり首輪がパワーアップしちゃうよ☆」
ピコの言うとおり、すでにくすぐり首輪は発動してしまっているのだ。そして止めてもらうためには、牢屋にあるボールを取りにいき、
ピコのもとへ戻ってくるしかない。それこそ主人に遊ばれるペットのように……。
くすぐり首輪1つでこんな子供にいいように扱われる。ナミは怒りと悔しさでいっぱいになりながら、研究室を急いで飛び出していった。
ナミ「んふうくっくくくく………んふっふっくっくっく………くひひ………」
「(……ちくしょう………ちくしょう………ちくしょう………!!!)」
ナミは悔しまぎれに、くすぐり首輪をなんとかしようと自分の首元を再び探ってみる。それでもやはり何1つ付けられている感覚は感じられず、
全身を襲うくすぐったさをどうすることもできなかった。パワーアップする前の今こそが、最も自分の意思通りに身体を動かせる時間だと
理解しているナミは、牢屋へ向かってそれこそ全力で、この広い船の中を走っていく。
そして1度もパワーアップを迎えることのないまま、ナミは牢屋へと辿り着いた。
ナミ「はぁ……はっくくうっく……これね………はぁ……くっくく………」
牢屋の中には、手のひらサイズの赤いボールがぽつんと置かれてあった。ナミはすぐさまそれを拾い、ピコの研究室へと急いで引き返す。
しかし、牢屋を出てすぐに1度目のパワーアップを迎えてしまった。
ナミ「きゃっは!!?ふふっひっは!!……んんんん!!!」
たとえ少しであっても突然強くなるくすぐったさに、パワーアップの瞬間はどうしても身体をビクっと跳ねさせ、声を上げて反応してしまう。
全身へ伝わるくすぐったさを和らげようと、両手で身体中をわさわさとさすりながら、走り続ける。
しかしくすぐり首輪が1度パワーアップしたことや、ナミの疲労などもあり、走るペースが著しく落ちている。はじめのペースなら1度の
パワーアップのみで往復できるはずが、牢屋から4分の3進んだあたりだろうか……2度目のパワーアップを迎えてしまった。
ナミ「いやあっはぁ!!!きゃっはっは………くくくふひっは………んんんん!!!ふふっはっは………くく……」
再び起こったパワーアップの瞬間に身体をビクんと反応させる。2度パワーアップしてしまうと笑い声の溢れ出る、耐え難いくすぐったさへと
変化してしまう。ナミは顔を歪ませながら必死に走り、ついに辿り着いたピコの研究室の扉を乱暴に開いた。
ナミ「ほらっはっくっく………ふひひひっっはっはっくく………持ってきたわよおぉ………」
ピコ「あっ!!早かったね☆おねえちゃん!!その様子だとさっきよりパワーアップは少なかったのかなぁ??」
ナミ「はやく止めてっ!!! んん!!くっくっくひゃっはっは!!」
ピコにボールを渡したナミが悶えながらも怒鳴ると、ピコは手にしているくすぐり首輪のボタンを押し、ナミを解放する。
ナミは疲労で床にぺたんと座りこんだが、そんなナミに対し、ピコは飼い主が犬を褒めるかのように、ナミの頭をなでた。
ピコ「よしよし……えらいぞ~☆」
ナミ「くっ……やめろ!!」
ナミはすぐさまピコの手をはじいて睨みつける。ピコはそのナミの反応を楽しんでいるのか、相変わらずニコニコしており、
そしてナミから受け取ったボールを持って、また研究室を飛び出していった。
ナミ「え!!?……はぁ………はぁ……まさか……!!?」
ナミの嫌な予感はきれいに的中した。ピコがまたボールを牢屋に置いてきて戻ってきたのだ。
ピコ「さぁ!!もう1回だよ☆ それいけっ!!」
まだまだと言わんばかりのテンションで言うと、くすぐり首輪を発動させた。
ピコはこの卑劣な遊びを何度も何度も飽きることなく繰り返した。それはまるで高い高いをしてもらった子供が、
もう1回もう1回と言うように……。
くすぐりに襲われながらも全力で走らざるをえない、という状況に何度も置かれたナミの身体には、どんどん疲労が溜まっていく。
脳に直接くすぐったいという刺激を送るため、抵抗の余地はない……透明のためはずすこともできない……
そんな残酷なくすぐり首輪のパワーアップ回数は3回……4回……と、回を重ねるごとに増幅していった。
ナミにとっての唯一の休憩時間は、ピコがボールを牢屋に置いて帰ってくるまでのほんの数分のみで、その時間以外は、
ピコが合図をしたらボールを取りに行って戻ってくる、というペットそのものであった。
ピコは全身をくすぐったさに身を震わせながら、ボールを持って戻ってくるナミを見るたびに、
「あはは☆顔真っ赤だよ?大丈夫?おねえちゃん??」
「よしよし……えらいぞ~!!」
「あれ~?今までで一番くすぐったそうだよ!!?今度は何回何回っ??」
「汗だくだね!!おねえちゃん!!」
などと挑発的な言葉をかけて存分に楽しんでおり、ナミはこんなピコに対し睨みつけ、悔しがることしかできなかった。
そして今、19回目の遊びが終えられようとしている。
ピコ「んん~~………おねえちゃん……今回はやけに遅いなぁ……」
研究室でナミという名のペットを待っているピコが顔をしかめて言った。もうナミが出て行ってから30分ほどが経過している。
今までは遅くとも10分くらいで戻ってきていたので、ピコは不思議がっていた。
「ドンドン!!………ドンドンドンドン!!!」
研究室の扉から激しいノック音が聞こえ、笑顔になったピコがすぐさま扉を開ける。
そこには激しいくすぐったさに全身を襲われ、立ち上がって扉を開けることもできずに、床の上を暴れまわるナミの姿があった。
ピコ「どうしたの?おねえちゃん??こんなに時間がかかるなんて~!!もう待ちくたびれたよ~!!」
ナミ「きぃやぁっっはっはははははははははは!!あっあっははははははははははぁ~~~!!もういやぁ~~!!」
「いゃはははははははぁはぁぁぁはははっだめぇぇぇ!!とっとめっひひひひひひひぃぃぃぃっ!!!」
ナミは今回初めて7回目のパワーアップを迎えてしまい、その立っていられないほどのくすぐったさに走るどころか、床に
転がりこんでしまったのだ。1度転んでしまったら立ち上がることは容易ではなく、床を這って進むことしかできなくなってしまった。
しかしそんなナミに対しても、容赦なくパワーアップは発動し、そのパワーアップがさらにナミを悶絶させる。
地獄の連鎖にはまってしまったナミは、今回床を転がりながらやっとの思いで戻ってきたのだった。
ナミ「いひゃははははははははっ!!あひひひひひひひひひひひぃぃぃっ!!!」
「あひゃははあああああああはっははああ~~!!あひぃぃぃぃぃひっひひいいぃひひいい~!!」
くすぐり首輪はすでに15回ものパワーアップを終え、とてつもないくすぐったさを脳に送る悪魔の機械と化していた。
拘束されていないにも関わらず、耐え難いくすぐりを休みなく受け続けているナミは、手足で床をたたいたり、身体を締め付けたり、
また背中を丸めたり、仰け反って跳ねたり、とにかく全身を激しく振り乱し、笑い狂っていた。
ピコ「あはは☆すっごい暴れっぷりっ!!そんなにくすぐったいの~??」
ナミ「あっはっはははっは!!いいからああぁぁぁあはははっはっははははっはっはやくうぅぅっはははっは~!!!」
「いやっはははははははは!とめっとめぇっはははははははははぁ~!!はっはっはやくううぅうぅ~~!!!!」
ピコ「あっごめんごめん、おねえちゃん!!はいっ!ぽちっとな☆」
ピコが手に持っているボタンを押すと、ナミの全身を襲っていたくすぐったさはさっぱり消えてなくなり、
激しくのたうちまわっていたナミの身体も静かに動きを止めた。
ナミは顔を真っ赤に染め、いつもは整ったオレンジ色の髪は激しく乱れ、身体中から流した汗によりびしょ濡れの服はめくれあがり、
きれいなお腹とピンク色のパンツを露出させている。そんなことは気にもせず、倒れこんだまま呼吸を整えることに必死だった。
ピコ「大丈夫~?おねえちゃん?すっごいエロい格好だよ~?」
「やっぱりカチカチの実の能力でくすぐるより、こういう方が好きだなぁ!!」
「くすぐったさに大暴れする反応が最高じゃん?? 僕、今回が1番楽しかったよっ☆」
ナミ「はぁ………はぁ………はぁ………はぁ………」
毎度のことながら挑発的な言葉を吐くピコ。ナミは一番辛く、苦しかった今回を一番楽しかったと言われ、
怒りでいっぱいになったが、今回ばかりは話す余裕もなく、何も言い返すことはできなかった。
ピコ「次でもう20回目だね☆おねえちゃん!!」
ナミ「はぁ………はぁ………あんた………………いいかげんに………はぁ……しなさいよ………はぁ……」
ピコ「ん~とねぇ………じゃあ最後の1回っ!!」
そう言うとまたピコが研究室を飛び出していった。もうこの光景も20回目だ。そしてナミの唯一の休憩時間が訪れる。
今のナミにとってこの遊び1回がどれほど苦しいか、計り知れないほどだったが、今まで「もう1回もう1回」と終わる気配を
全く現わさなかったピコが、ついに最後と口にしたことで、ナミの精神の片隅に小さな安堵が生まれた。
数分が経ち、ナミの体力が少し回復したころ、ピコが戻ってきた。ナミはすぐさまくすぐり首輪を発動されてしまうと身構えるが、
なぜかピコの手にはまだ赤いボールが握られていた。
ピコ「また牢屋に置いて来ようと思ったんだけどね……最後の1回にふさわしい場所を思いついたんだぁ!!……えいっ!!」
ピコが掛け声と同時にボールを投げる。そのボールの行き先を見たナミは驚愕した。なんとボールは研究室の真ん中に置かれた巨大な機械、
つまりピコの新作であるコチョコチョの部屋へと入ってしまったのだ。
ピコ「ナイスコントロールっ!!じゃあおねえちゃん☆行くよ~~!!」
ナミ「まっ…待って!!! あそこは……!!」
ピコ「よ~い☆ドンッ!!!」
ナミは必死に叫んだが、そんな言葉など聞く耳持たずに、ピコがくすぐり首輪を発動させる。ナミの全身に再びくすぐったさが流れ始めた。
ナミはその刺激に身を震わせながら、部屋の入口まで歩いていく。ピコが投げ入れたボールは、運悪く部屋の奥のほうに転がっていた。
ナミ「はあぁっくっくくく………くっくっくっくっく………んんんふっふ………そ……そんなぁ……」
ナミはこの部屋に入った瞬間、今のこの微弱なくすぐったさは何倍にも倍増させられてしまうということを理解しているため、
部屋に入ることはしたくない……しかし、このままくすぐり首輪に翻弄され続けるのもたまらない……。
激しい葛藤にもまれながら、時間だけが経ってゆく。そして何もできないまま、1度目のパワーアップを迎えてしまった。
ナミ「きゃっふぅ!!?くふふふふ………くっはぁ……んんんん!!……っくっくくっくっはっは……」
「(このままじゃやばい……!もう部屋に入るしかない…………ボールを取って戻ってくるだけ………ほんの一瞬よ……!!)」
強さを増したくすぐりに後押しされたナミはボールを取りに行く決心をし、コチョコチョの実の能力が詰まった空間へと
1歩踏み出す。その瞬間、やはりというべきか……ナミを襲っていたくすぐったさは激しく倍増し出した。
ナミ「はひっ!!?きゃああはははあはははははあははああはははっははあっはははははあああああぁぁ~!!」
「いやぁ~っっはははああははははははははははははははは~~!!!ひっひひひひひひっ!!」
予期していた刺激を遥かに超えており、そのたまらないくすぐったさにナミの身体を支えていた両足は力を失い、ガクんと折れ、
部屋の床の上で激しくのたうちまわった。
絶え間なくわき出すこの激しいくすぐったさから今すぐにでも逃れたい………そう考えざるをえない状況にいるナミは、たまらず
部屋の外へ向かって転がり、くすぐりを何倍にも増幅させているこの空間から、ほんの数秒で脱出してしまった。
ナミ「はぁ…ははは………くっく……くくふっふふっ……はぁ……んんふふっひ!!……くぅ……」
部屋から脱出したとて、ナミの身体にくすぐったいという感覚が休みなく送られ続けることに変わりはなく、身を抱え込んで
ぷるぷる震えはじめる。
それにさきほどナミが本能的に行った脱出は、確かにたまらないくすぐったさを大幅に弱める行為であったが、それと同時に、
ピコの最後の卑劣な遊びを振り出しに戻してしまう行為でもあった。
いまだボールは部屋の奥にぽつんと置かれている。それを取りに行き、ピコに渡さない限り、遊びは終わらず、非情なくすぐり首輪は
ナミに耐え難いくすぐったさを送り続け、パワーアップし続けるのだ。
ピコ「あはは☆な~にやってんの??おねえちゃん??」
「いつものおねえちゃんなら、1分もかからないで取りに行ける距離なのにさぁ!!」
ピコがニヤニヤしながらナミのもとへやってきた。確かに今までに比べはるかに短い距離だが、それでもナミが苦戦しているのは
言うまでもなく、コチョコチョの部屋のせいである。それを知っていてなお、嫌みを言うピコにナミは声を荒げた。
ナミ「くっ……うっさいわよ!!んはぁっはっは!!………くくくふひっは……」
「あんたの……んんんん!!!へっへんな……んふふっはっは………くく……機械のせいでしょ!!」
ピコ「変ななんてひどいよ~!!せっかく頑張って作った新作なのに~!!」
「ちなみに今の設定は10倍だよ☆おねえちゃん!!」
どおりで微弱なくすぐったさが、ナミを狂わせるほどのくすぐったさに変貌するわけだ。10倍と聞いてその恐ろしさを理解すると同時に、
部屋へ入るのを余計にためらうようになってしまった。
そんなナミに対し、ピコは楽しげに話を続ける。
ピコ「じっくり時間をかけるといいよ☆おねえちゃん!!」
「このまま外でパワーアップし続ける姿を見るのも楽しみだし、中で笑い狂う姿を見るのも楽しみだし……!!」
「散々パワーアップした後、部屋に入ってくれるともっとうれしいなぁ!!!」
ピコはナミの激しい葛藤の中選択する行動や、それに応じたくすぐったさって身を震わせる姿など、この状況におけるすべてを楽しんでいる。
そんなピコの言葉を聞いて、ピコを楽しませたくないナミのとる行動は1つに決まった。
ナミは部屋から少し距離をとって振り返り、くすぐり首輪に身を震わせながらも真剣な目をしている。
そのナミの姿を見て、ピコは一体何をするんだろうとわくわくした顔をしているが、そんなピコを無視するように走り出した。
ナミ「くく……こんな遊び………くっはっは……んん!!……さっさと終わらせてやるわよっ!!!」
そう叫ぶと同時にナミはコチョコチョの部屋へまるで走り幅跳びのように飛び込んでいった。部屋の空間に入った瞬間、くすぐったさは
10倍へとはねあがりナミを笑い狂わせたが、その勢いにより宙を進み、さらに着地したあともゴロゴロと転がりボールとの距離を縮めた。
ナミの勢いが止まったときにはすでにボールのすぐそばまで来ており、たまらないくすぐったさにより自由の利かない腕をなんとか伸ばし、
ほんの一瞬でボールを取ることに成功した。
ナミ「あひはははははははは!!ひぃ~ひひゃははははははははは!!!」
「いやっいやぁ~あ~っっはははははははは!やはははははははははっ!あはぁああぁぁぁぁぁ~~!!」
ピコ「すごいやっ!おねえちゃん!!後は戻ってくるだけだよ☆ ほら、おいでおいで~!!」
ピコが座って両手を鳴らしながら、ペットのようにナミを呼ぶ。屈辱に怒りを覚えるところだが、今のナミにはそんな余裕はなかった。
全身を駆け巡る激しいくすぐったさに、たまらず頭を振り乱し、身体を何度もエビ反らせながら、のたうちまわる。
そしてこのくすぐりから解放される唯一の方法である、ピコにボールを渡すという行為へ向けて、床を這い進み始めた。
ナミ「ひゃははあはははっはあっはははは!ああああ~~~っっははははははははは!!」
「あひゃははあああああああはっははああ~~!!あひぃぃぃぃぃひっひひいいぃひひいい~!!」
笑い狂いながらも順調に進んでいたナミだったが、ナミはある卑劣で凶悪なシステムを失念してしまっていた。
くすぐり首輪のパワーアップである。部屋の出口まであと1mといったところで、2度目のパワーアップを迎えてしまった。
ナミ「っっ!!?? きゃああああはははははははははははははぁはははああああああぁあ~~!!」
この部屋の中で迎えるパワーアップは外のものとは次元が違っていた。今まで何度も味わってきたパワーアップはくすぐったさが徐々に
上がっていくものだったが、この部屋ではパワーアップ時に上げられるくすぐったさも10倍なのである。
爆発的に強くなったくすぐったさにナミはたまらず悲鳴のような笑い声を上げる。しかも完全に失念してしまっていたナミにとって、
このパワーアップはきれいな不意打ちとなり、全身をビクんと跳ねあがらせると同時に、手にしていたボールを手放してしまったのだ。
ナミ「しまっはっはっはっははあっははっははははあああはあっはああはぁあぁ~~!!!くううはははああっはっはぁ~!!」
激しく転がり回るナミとは対照的に、ボールは静かに転がりナミとの距離を広げていく。
ピコ「あはは☆ コチョコチョの部屋でのパワーアップはすごいでしょ~??」
「でもダメじゃないか~おねえちゃん!!ボールを落としちゃ!! ほら、はやく取りに行かないと!!」
ナミ「もういやぁぁぁぁぁはははははははははあはははははぁぁぁっ!!!」
拘束の有無に関係なく強烈なくすぐり責めができるのは、つけているだけで脳を直接刺激するくすぐり首輪くらいだろう。
手足が自由に動かせるのに、抵抗することも、逃れることも、くすぐりを緩和することさえできない。
それでもくすぐったさに反射的に全身を暴れさせ、その意に反する激しい運動で体力はことごとく奪われていく。
こんな拘束された状態よりも悪質かもしれないくすぐり責めに、ナミは身体中にびっしょりと汗をかき、
それで濡らした髪や服を激しく乱しながら、笑い悶え続けた。
ナミ「ひいいいいいひっひっひっひひいひいいいいいいいいひいひいいいいいいいい~~~~!!!」
「あひゃはははははぁぁっぁくっくふふひひひぃぃ!!!!いやっいやぁっはははははははははははは~~~!!!」
どんなにもがいても、笑い悶えても、全身を揺らしても、脳を直接刺激されているため、全く干渉できない。
そんな強烈なくすぐったさを軽減させる方法をナミは1つだけ知っている。……そう……そのナミに送り込まれる刺激を10倍へと変換している
このコチョコチョの部屋から出ることだ。
ボールを再び取りに行かねば、くすぐり首輪は止まらない………しかしそんなことはもはやどうでもよく、今現在の苦しみから逃れたい一心で、
手放してしまったボールを無視し、1mと迫った部屋の出口に向かって必死に転がりこんだ…………はずだった。
突然ナミの身体は石のように固まり、どんなに力を込めても1mmだって動かせなくなってしまった。ピコのカチカチの実の能力だ。
ナミ「な!!?あっははっはっはあはああっはっはっはああっはぁ~!!なっはっはぁぁなにを…っひゃっはっはっは!!!!」
ピコ「だっておねえちゃん今出ようとしたでしょ??それじゃ面白くないも~ん!!」
ナミにとっての安息の地はすぐ目の前まで迫っており、コチョコチョの部屋から出るため必死に身体を進めようとするが、ピコの能力が
それを決して許さなかった。
カチカチになっているナミに対しても、激しいくすぐったさは容赦なく襲いかかる。全身を大暴れさせて笑い悶えるところだが、
やはり身体は転がりこむ態勢でピクリとも動かない。ただただ笑い声だけが響き続ける中、ピコが話を続ける。
ピコ「でもね、おねえちゃん☆この遊びはもうおしまいっ!!」
ピコ「ここからは僕のお楽しみの時間、おねえちゃんを徹底的にくすぐりいじめる時間だよ☆」
ピコはポケットから取り出したカプセルを部屋の中に放り投げる。床に衝突した瞬間、4本の腕を持った2mくらいの
ロボットが出現し、ウィーン、ウィーンと音を立てて動き出したかと思うと、固まってしまって動けないナミの四肢を4本の腕で正確に掴み、
空中でX字に固定した。そしてピコはナミが固定されたのを確認すると、能力を解く。カチカチ状態から元に戻ったナミだったが、
今度はX字に拘束されていて自由が利かない。
固定を終えたロボットは、今度は背中から無数のマジックハンドが出現させ、あろうことかくすぐり首輪ですでに笑い狂っているナミの身体を
追いうちをかけるようにこちょこちょとくすぐりだしたのである。
ナミ「ひひいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいぃぃぃいい~~~!!!!!」
「きゃああはははあはははははあははああはははっははあっははははははあははははあああああああぁぁぁぁ~!!!」
ピコ「どう!?僕のお気に入りの3作品、くすぐり首輪・くすぐりロボット・コチョコチョの部屋の同時責めっ!!」
「くすぐったくてくすぐったくてくすぐったくてたまらないでしょ~~??」
ピコの言うとおり、ナミを襲い始めたのはとてつもないくすぐったさだった。
それもそのはず、2度パワーアップしたくすぐり首輪がナミの全身を脳から直接くすぐり責めにし、新しく加えられたくすぐりロボットも、
ナミをX字に拘束すると同時に、無数のマジックハンドでナミの身体中のあらゆるくすぐったいポイントを、汗でびしょ濡れの服の中に侵入
しながら、的確かつ適度な力加減でくすぐり続け、さらにコチョコチョの部屋がその耐え難いくすぐったさを10倍に引き上げているのである。
その激しすぎるくすぐったさに、ナミは激しく頭を左右に振ってオレンジ色の髪を振り乱し、涙を流しながら笑い悶えた。
ナミ「あああああはっははっはははっはっははは~!!!いやああはっははっはあはああっははははははああぁぁ~~~!!!」
「やめっっはっはっははっあはっはははっはっは~~!!!!くすぐったすぎるぅぅぅうぅっはははははははははっは~~!!!!」
どんなにくすぐったくて全身を捩っても、くすぐりロボットの拘束は堅く、手足は大きくX字に広げられたまま全くビクとも動かない。
それはマジックハンドをくすぐったいポイントから外せないだけでなく、コチョコチョの部屋から逃れられないことも意味していた。
まさに徹底的なくすぐりいじめに思えたが、ピコにはまだまだ物足りないらしく、何やらリモコンをいじり始める。
ピコ「まだまだだよ☆おねえちゃん!!今から10秒に1倍ずつ、倍率設定が上がるようにするからね!!いっぱいいっぱい笑ってよ!?」
「MAX100倍まであと90倍分………900秒だからぁ………15分かかっちゃうけど、頑張ろうねっ☆おねえちゃん!!」
ピコがまるでクーラーの設定を変えるかのようにリモコンを天井に向けピっとボタンを押すと、コチョコチョの部屋は10秒間隔で
倍率が上がるという、今までとは比べものにならないほど凶悪な機械へと化してしまった。
(………………11倍…………………………12倍………………………13倍………………………)
どんどん倍率が上がっていく。ナミにとってはこれ以上くすぐったいなんてことが存在するのかと思うほど強烈にくすぐったかったが、
そんな極致はたったの10秒で軽々と超えられていった。
ナミ「きいいいぃぃぃぃぃぃぃぃいいいぃぃ~!!!!きゃぁぁぁぁぁっはっはっっはっはははははぁぁぁぁ~~!!!!」
「気があああはっははははははっははぁぁっぁくっくふふひひひぃぃ!!!!気が変になるうぅぅぅぅぅ~!!!」
「もういやぁぁああぁっはっはっはははっあはっは~~!!!やめてぇぇぇぇええっはっははははははは~~!!!!」
ピコ「あはは☆おねえちゃん最っ高だよ~!! すっごくくすぐったそうに……苦しそうに反応するんだもんっ!!」
「でも、もっともっとも~っとくすぐったくなるからね☆」
(………………16倍…………………………17倍………………………18倍………………………)
ピコはこれでもかというほどに残酷で徹底的なくすぐり責めを行い、今まで以上にナミを笑い狂わせ、そしてその姿を存分に楽しんだ。
脳に直接刺激するくすぐり首輪は定期的にパワーアップする。くすぐりロボットはナミの身体のどこをどのようにくすぐれば
より効果的か解析し、次々に発見される弱点を集中的にくすぐる。そしてコチョコチョの部屋は10秒間隔で倍率が上昇する。
時間が経つにつれ、衰えるどころかすさまじいスピードで激しさを増していく3種類のくすぐりマシーンによるくすぐり責めは、
抵抗することも、逃れることもできないナミにとって、生き地獄以外のなにものでもなかった。
いまだピコはお気に入りの3種類のくすぐりマシーンを使って、満面の笑みを浮かべながらナミをくすぐりいじめ続けている。
気が狂いそうなほどの激しいくすぐったさに、ナミは頭を上下左右に激しく振り乱し、身体中を痙攣させ、涙と涎を撒き散らしながら、
恥も外聞も無く笑い泣き叫び続けた。すでにコチョコチョの部屋の設定倍率は30倍にまで上げられている。
ナミ「きゃああはははあはははははあははああはははっははあっはははははあああああぁぁ~~!!!!」
「きぃぃぃぃぃぃいい~!!!お願いいぃぃいっひっははっははは!!あっはっはっはっはっはははははああ~~~!!!!」
「ひゃはっはははっなんでもおおおぉぉぉくふぅっふっひひいひいいっふっふぅするからあああぁぁ~~!!!!」
「もうやめてぇぇぇぇぇぇっはっははははははは~~~!!!!くすぐったいいいいぃいいぃい~~!!!!」
ピコ「やめないよっ☆ だって楽しいんだもんっ!!」
たとえナミが何を必死に叫んでも、ピコはやめてくれないだろう。なぜなら今行われているのは、
白状や屈服を求める尋問・拷問などではなく、ただ楽しむためだけの時間なのだから。ナミにとってその事実は何よりも残酷だった。
最初はさまざまな手法で、ナミの全身を余すとこなくくすぐっていたマジックハンドだが、
効果が得られないと分析された箇所を担当していたマジックハンドが、
逆に効果がよく得られる腋の下・脇腹・腹・背中・太股・膝・足の裏………つまり弱点と分析された箇所へと担当を移していく。
そうして弱点に群がったマジックハンドたちは、プログラムされた50以上存在するであろう手法の中から、その弱点に見合う、
より効果的な手法をいくつか絞り出し、徹底してそれを行い続ける。
このようにくすぐりロボットは無駄なく激しいくすぐり責めを可能にしていた。
くすぐり首輪も忘れてはいけない。全身を脳から直接攻撃しているのは言うまでもないが、時おり発動するコチョコチョの部屋内での
爆発的なパワーアップは、ナミの身体を音を立てるようにビクんと反応させる。
こうして内からも外からもくすぐられ続け、笑い泣き叫んでいる間にも、コチョコチョの部屋は非情に倍率を上昇させていく。
ピコ「機械の力ってすっごいよね~!!」
「人間がどんなに頑張っても生み出せないくすぐったさを、こんなに簡単に生み出せるんだもんっ!!」
「僕はただおねえちゃんの笑い狂う姿を眺めてるだけで全然疲れないしっ☆ 機械は命令どおりに何でも言うこと聞いてくれるしっ☆」
「あはは☆ やっぱりくすぐりマシーンの研究は止められないなぁ!!!」
ナミ「もういやあああああああああっっはっはあっははっはっはあああ~~!!!狂っちゃうぅぅううううぅ~~~!!!!」
「きっきいいいいいいいいいやはははっはああああああ~!!!!たすけてえええええっはっははは~!!!」
「く、くるしぃぃぃぃぃぃ~~!!!!ひゃぁぁっはっはっはははっあはっははっははっはっはっは~~!!!!」
ピコが話している間も、絶え間なく笑い狂っているナミにはこの言葉は全く届いていないだろう。
この地獄からどんなに逃れたくても、くすぐりロボットの4本の腕はがっちりとナミの手足を掴み、X字のまま動くことを許さない。
そうして強制的に曝け出されたナミの弱点を、集中的に、最もくすぐったい手法でくすぐりまくる。もちろんその弱点にはくすぐり首輪の
刺激も響いている。コチョコチョの部屋の設定倍率はついに40倍をも迎え、そのくすぐったすぎる刺激にナミの意識は朦朧としていた。
もうナミの精神力は限界で、まさに気絶する直前であった。
ナミ「きゃぁぁっははっははっはっはっは~~!!だめぇぇぇぇぇぇ~~!!もうだめぇぇぇぇえっははっはっはは~~!!!!」
「ひひいいいいいい!!息がああぁぁ!!息があああぁぁははっはははははははははははははははははははは!!!!」
「きゃははははははははっは~~!!死んじゃうぅぅぅぅぅああはっはははははははははははははははああ~~!!!!!」
「(……………くすぐったすぎるううぅぅぅぅ!!………………もう……………だめ……………限界…………………)」
「いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」
大きな悲鳴を上げ、気絶すると思った瞬間、今までナミの身体を駆け巡っていたくすぐったさは突然プツっと途切れるように姿を消した。
ナミは一体何が起こったのか全くわからなかったが、気絶寸前までくすぐり続けられたことで首をがっくりと折り、笑いすぎて
閉じる力も失った口からは涎をタラタラ垂らし、全身をピクピクと痙攣させている。
ナミ「はは…………はぁ………はぁ………ははは………はぁ………お………わり…………………??」
まだくすぐりの余韻が残っているナミは、小さな笑い声を漏らしながら、状況を理解しようとした。
ピコ「あ、これはね!! 気絶回避機能☆」
「気絶させちゃったら面白くないでしょ? だから気絶寸前で一時停止するようにしてあるんだぁ!!」
「でも安心して、おねえちゃん!! 少ししたらまた続きからくすぐるからさっ!!」
ピコのこの言葉は、くすぐりが止まったことでくすぐり地獄から解放されたのではないかという、ナミの淡い期待を打ち砕くと同時に、
気絶という最後の脱出手段をも奪われていることを意味しており、ナミを完全に絶望へと叩き落とした。
数分の休憩により、ナミの精神が気絶の淵から回復する。そんなナミに対し、もう問題ないと判断したのか、再び3種類の
くすぐりマシーンによるくすぐりが自動的に始められた。
ナミ「!!?っっはっひゃ!!?? ひひいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいぃぃぃいい~~~!!!!!!」
何の前触れもなく、突然再開されたくすぐり地獄。しかもそれは先ほどナミを気絶寸前まで追いやった時の続き………
つまりくすぐり首輪は何度もパワーアップを終え、くすぐりロボットはナミのあらゆる弱点を知りつくし、コチョコチョの部屋は
40倍に上昇した状態のくすぐりなのである。
激しすぎる不意打ちに身体を弾けさせ、限界まで仰け反らせたかと思うと、次から次へと押し寄せるくすぐりの波に、たまらず
身を震わせながら笑い狂い始めた。
ナミ「いやぁっはははははははっはははははははははああああ!!!!あっはははははははははっはっははあはああああ!!!!」
「く、くひゃっははっははははははああ~!!く、くすぐっははっはは!!!くすぐりは~っはははははもういや~っっっ!!!」
「あひゃはははははぁぁっぁくっくふふひひひぃぃ!やめてぇぇぇぇぇ!!!もうやめてぇぇぇぇへへっへっひゃはは!!!!」
ピコ「あはは☆ 始まった始まった~!!最初の仰け反り方、すごかったよっ!!」
「今度はノンストップで100倍までいけるように頑張ろうねっ☆ おねえちゃん!!」
それから再び10秒間隔で1倍ずつコチョコチョの部屋の倍率は上がっていった。
(………………42倍…………………………43倍………………………44倍………………………)
ナミ「くっくひゃっはははははっくくくくるしいぃいいい~!!!!!くしゅっははっはっくすぐったああぁぁぁぃぃぃ~!!!」
「やめっやぁっははははははははは!!!!きゃああああはははははははははははははぁはははあああ~~!!!」
(………………49倍…………………………50倍………………………51倍………………………)
ナミ「死ぬうううぅふっふっふふぅぅぅぅっふふっはははあははっはははははっはああああ~~!!!」
「むりむりむりむりぃぃぃぃぃいいぃぃ~~!!!!きっきいいいいいいいいいやはははっはははああああああ~!!」
(………………56倍…………………………57倍………………………58倍………………………)
ナミ「きゃぁぁっははっはっはっはっは~~!!もうだめぇぇぇぇえっははっはっはははははははははは~~!!!」
「お願いいぃぃいっひっははっははは~~!!助けてえぇえぇぇ~~!!いやあああっははっははあははははは~~!!!」
そして60倍に差し掛かろうとした時、ナミの精神は2度目の限界へと達し、再びくすぐりマシーンは停止した。
先ほどの気絶から3分ほどだった。
本来くすぐりだけで人間を気絶させるには、長時間にわたる連続的なくすぐりを要し、決して容易ではない。
それをたったの3分で可能にしたという事実が、この休みなく激しくなり続けるくすぐりの強烈さを物語っているだろう。
ピコ「あ~あ………ノンストップでいこうっていったのに……はやいよぉ~!!」
「あはは☆でも、あともう1歩で気絶できたのにねぇ………残念でした☆おねえちゃんっ!!」
くすぐりから解放されることが、こんなに辛いと思うのは初めてのことだった。
ひと思いに気絶できたらどんなに楽だろうか…………
しかしどんなに願っても、気絶させないようにプログラムされている非情なくすぐりマシーンは、ナミの気絶する瞬間を絶対に見逃さず、
その寸前でくすぐりをやめてしまうのである。
気絶寸前までくすぐっては、休憩させ、回復したら再び気絶寸前までくすぐる。
この地獄のサイクルから、X字に拘束されたナミは決して逃れることはできなかった。
ナミの気絶までの時間は、これでもかと激しくなり続けるくすぐったさに反映して、2分・1分・30秒と見る見る短縮されていった。
そして80倍を超えた頃、そのあまりに強烈なくすぐりに、ついにコチョコチョの部屋の倍率が上昇する間隔である"10秒"という
信じられない時間で気絶寸前まで達するようになってしまった。
ピコ「すっご~い!!!10秒で気絶寸前なんて☆ 休憩時間の方が長くなっちゃってるよ!!」
「でもまぁ80倍だもんね~!!どれくらいくすぐったいの~??」
どれくらいと言い表せるレベルなどとっくに超えている。
それをわかっていてなお、楽しみ続けるピコはもはや悪魔以外のなにものでもなかった。
ピコ「ほら、おねえちゃん!!そろそろじゃないっ??」
ナミ「もういやっ!!!ねぇ、お願いっ!!!ほんとにもうやめっ!!??きゃあああああああああああ!!!!!!」
涙を流しながら頼むナミに対し、回復したと判断したくすぐりマシーンが一斉にくすぐり始め、ナミの激しく弾けさせる。
そして笑い悶え始めたかと思うと、すぐさま気絶回避機能が発動し、そのくすぐりを停止させる。
ナミ「………はっ………………はっ………………はっ………………はっ………………!!」
数秒前のナミの姿とは一変し、目を見開きながら呼吸を荒げ、身体をピクピクと痙攣させている。
それもそのはず、普通に10秒くすぐられるという生易しいものとはわけが違う……あの一瞬でナミの精神は限界へと達し、
気絶寸前にまで追いやられているのだ。
それほどまでにナミの身体を襲うくすぐったさはすさまじいものになっていた。
こんな状態でもプログラム通りに動くだけの非情なくすぐりマシーンはナミを責めることを決して止めない。
コチョコチョの部屋の上昇はもう10秒間隔などではなく、ナミの休憩を含んだ数分間隔でゆっくりと上がっていくようになっていた。
そして長い時間をかけ、何度も何度も気絶寸前にさせられながら、ついにコチョコチョの部屋の倍率は90倍にまで上昇した。
そんな時ナミの悶絶する姿を満足げに眺めているだけだったピコが、何やら行動しだし、部屋を出て行った。
少しして戻ってきたピコの手にはスプレーのようなものが握られている。
ピコはそれを休憩中のナミの顔に2、3回吹きかけると、こんなことを言った。
ピコ「これはね、覚醒スプレー!!くすぐりマシーンじゃないけど、僕の作品☆ これで30分は絶対に気絶しないはずだよ!!」
「気絶しなければ、100倍まであとたったの100秒☆ ラストスパートだよ!!おねえちゃん!!」
ナミ「なっ!!!??」
ナミはそれを聞いて顔を真っ青にしながら怯えた。
コチョコチョの部屋の倍率は今では90倍にもなり、それこそ5秒もかからず一瞬で気絶してしまうほどのくすぐったさなのに、
そんな状況で100秒もくすぐられたら…………考えただけで気が狂いそうだった。
ナミ「お願いっ!!!もうやめてっ!!!ねぇもういいでしょ!!??」
「なんでもするからっ!!………お願い……………助けて……………もうくすぐらないでええぇぇ!!!」
ピコ「そうやって怯える姿も最高だね!!おねえちゃん!!でも僕はおねえちゃんの笑い狂う姿が一番好きだからさぁ!!」
「今度のは今まで以上にすっごくすっごく笑い狂ってくれると思うから、本当に楽しみだなぁ☆」
ナミの必死の言葉もピコの楽しむ素材にしかならなかった。それでももうすぐ訪れるであろう地獄といっても物足りない時間に怯え、
X字に拘束され動かない身体を暴れさせながら叫び続けた。
ナミ「きゃああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!??」
くすぐりマシーンが再び活動を再開し、一斉にナミをくすぐりだした。ナミがたまらず絶叫を上げながら、全身を跳ねさせる。
ここまでは前回と一緒だったが、問題はここからだ。この一瞬でナミの精神は気絶寸前まで持っていかれ、くすぐりマシーンが
一時停止するはずが、覚醒スプレーにより無理やり意識を保たされているため、気絶の危険を感知しないくすぐりマシーンは
止まることなくくすぐり続けた。
ナミ「ひいいいいいひっひっひっひひいひいいいいいいいいひいひいいいいいいいい~~~~!!!!!!!」
「やはっ、あはははははっや~っはははははははは!!!!!!何で、何でええぇぇえぇぇっはははははははああ!!!!!!」
「あひゃはははははぁぁっぁくっくふふひひひぃぃ!!!!やめっやぁっはははははははははははは~~~!!!!!!」
「きゃはっははははははははははっはははははははははははははははははっはははははははああああああああ~~!!!!!!」
「いやああはっははっはあはああっははああぁぁはははははっはあははあはははははあはああ~~~~!!!!!!!」
本来なら一瞬で気絶するほどのくすぐったさにナミは頭がおかしくなりそうだった。半狂乱になりながら頭を振り乱し、手足に
めいいっぱいの力を込めて全身を暴れさせたが、くすぐりロボットの4本の腕はナミがX字から動くことを許さず、
その場で身体を左右に小さくスイングさせるのが精一杯だった。
そんなナミの必死の抵抗を嘲笑うかのように、マジックハンドは身体の動きにピタリと合わせて移動し、決して担当ポイントから
外れる事がなく、執拗に、的確に、弱点をくすぐり続ける。
そして限界を知らないかのように、くすぐり首輪もまだまだパワーアップし、コチョコチョの部屋も100倍へ向けて倍増し続ける。
ナミは汗と涙と涎を辺りに撒き散らし、さらには失禁をもしながら笑い泣き叫んだ。
ナミ「おかっははははぁ!!!!おかしくなるううぅぅっふふふっははっははははっははははあははははあはははははは~!!!!!!」
「ひひひゃっはははははああはははあはあっくひぃいい息ができないいぃいいいぃいいひっひっひいいいいいぃぃ~!!!!!!」
「ひいいいいいいぃぃ死ぬうううう~!!!!!!死んじゃうぅぅぅぅぅああはっはははははははははああ~!!!!!!!」
「もういやぁっははっはっはははははは~~!!!!!くるしぃぃぃぃぃいいっひゃっははははははっはっは~~!!!!!!!」
「きゃはっははははははははははっはははははははははははははははははっはははははははああああああああ~~!!!!!!」
ピコ「あはは☆おねえちゃん最高だよっ!!!失禁までするなんて~!!」
「死ぬほどくすぐったそうで、苦しそうで………まぁ本当だったらとっくに気絶してるくらいだもんねぇ~☆」
ナミの気も知らず、楽しみ続けている合間にも、コチョコチョの部屋の倍率はどんどん上がっていき、ついにMAXである
100倍に到達した。
ピコ「わぁ~~☆ついに100倍!!最強だよ!! どう??おねえちゃん??」
ナミ「やめてえっへっはははあっはははははははははあははっくくふふぅっくふふひっひひひひひゃっははああははあああ!!!!!」
「くしゅっふっふふしゅっははははははははあああぁくすっふふひゃあはぐったすぎるぅぅぅううう!!!!!!」
「狂うううううぅぅぅぅ!!!!!!だめぇぇぇぇぇぇ~~!!もうだめええぇぇっははっはっははあああ~~!!!!!」
「たすけえぇえぇぇへっへえはははははは~~!!!!!たすけてぇぇええっはっははははははははあ~~!!!!!!!」
「いやあああはっははははははあはははあはっはははははははははっはははははははははははははああああ~~!!!!!!」
ボールを追いかけているときからずっと発動し続けているくすぐり首輪は、もう何回パワーアップしたかわからない。
ナミの脳に直接耐え難いくすぐったさを送り込み、頭から足の指の先まで全身を絶え間なくくすぐる。
くすぐりロボットはナミの手足を掴んでX字に固めて離さず、調べ上げた弱点を無数のマジックハンドで執拗にくすぐり続ける。
それぞれ1つずつでも全く耐えられないであろうくすぐりマシーンから同時に責められ、極めつけにコチョコチョの部屋が
そのくすぐったさを100倍と爆発的に跳ねあがらせる。
そんな本来1秒だって意識を保つことのできない壮絶なくすぐり責めを、覚醒スプレーによって強制的に意識を保たされ、
抵抗することも逃れることも気絶することもできずに、休みなく続けられているナミは、まさに精神崩壊寸前だった。
ナミ「ひいぃぃぃぃいいいいいいいいいいいぃぃぃぃいいいいいいいいいいいぃぃぃぃいいぃぃっ~~~!!!!!!!!!!!!!!」
「きゃあああぁぁぁぁぁぁぁあっはあぁぁぁぁぁぁぁぁっはははははははははははははははあああああああ~~~!!!!!!!!!!!」
「あっはっはあはあああああっはっはっくくうぅぅうぅうううううふふふっふふっふっひひいっひっひゃっははははああ!!!!!!!」
「いやあああああああはっははははあああはははははははっはははははははははっはははははははははははははは~~!!!!!!!」
「きいいいいいぃぃぃぃぃぃぃいいいいやはははっはっはあああああああああああ~!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「(くすぐったいくすぐったいくすぐったいくすぐったいくすぐったいくすぐったいくすぐったいくすぐったいくすぐったい)」
「(くすぐったいくすぐったいくすぐったいくすぐったいくすぐったいくすぐったいくすぐったいくすぐったいくすぐったい)」
「(くすぐったいくすぐったいくすぐったいくすぐったいくすぐったいくすぐったいくすぐったいくすぐったいくすぐったい)」
「(くすぐったいくすぐったいくすぐったいくすぐったいくすぐったいくすぐったいくすぐったいくすぐったいくすぐったい)」
「(くすぐったいくすぐったいくすぐったいくすぐったいくすぐったいくすぐったいくすぐったいくすぐったいくすぐったい)」
「(くすぐったいくすぐったいくすぐったいくすぐったいくすぐったいくすぐったいくすぐったいくすぐったいくすぐったい)」
「(………コ……ワ……レ……ル………)」
ナミの精神が制御できないほど激しいくすぐったさで溢れ返り壊れる寸前、くすぐりマシーンは「ピィー」と高い音を鳴らしながら停止した。
ピコ「あらら………精神崩壊回避機能が発動しちゃったぁ………」
「精神崩壊しそうになるほどくすぐったかったんだね☆ おねえちゃんっ!!!」
もちろん気絶はしていなかったが、ナミにはピコの言葉は届かず、呼吸を荒げ、全身を脱力させながら痙攣させている。
部屋にはいまだ精神崩壊回避機能の警告音が、ただただ響き続けていた。
しばらくしてピコは研究室を出た。その右肩には今までくすぐられ続けたことでぐったりとしたナミが抱えられている。
くすぐりマシーンなどを作り上げてしまう優れた研究者であるに加えて、力もかなり持っているようだ。
ピコは散々ナミをくすぐって弄び、さすがに満足したのか、ナミを牢屋へ戻しにいく途中だった。牢屋に近づくにつれて何やら船員の話し声が
聞こえるようになってきた。
船員たち「おいっ見ろよ!!牢屋が空いてる!!あの女もいねぇぞ!!」
「まさか逃げやがったのか!!」
「でもどうやって………!? 牢屋の鍵は船長が持ってたはずだぜ?」
酔いから目が覚めた3人の船員たちが、ナミが牢屋にいないことで騒いでいる。そんな3人に歩み寄っていったピコが話しかける。
ピコ「みんな、ど~したの??」
船員たち「あ、ピコさん!!………あ!!それにあの女も…!?」
ピコ「アランがさ、このおねえちゃんで遊んでいいぞって牢屋の鍵くれたんだぁ!!」
「くすぐり首輪とねぇ……くすぐりロボットとねぇ……コチョコチョの部屋とねぇ……覚醒スプレーで遊んだんだよ~!!」
「そしたらこのおねえちゃん、すっごい反応でさぁ☆」
船員たち「うっは~!!相変わらずピコさんは加減を知らないっすね~!!」
「……まさか壊してないですよね!??」
ピコ「うんっ!!壊れかけたけど大丈夫だったぁ☆」
船員たち「壊れかけたんだぁ………(苦笑)」
「全く……気をつけてくださいよぉ~~!! 俺たちも使うんですから!!」
ピコ「ごめんごめん☆じゃぁハイっ!!あっ服洗濯してあげた方がいいよ~??全部びしょ濡れだからさっ!!」
そう言うと、ピコはナミを船員たちに引き渡した。ナミはこの会話を聞きながら、アランのある言葉を思い出さずにはいられなかった。
(誰もあなたをくすぐる者がいないこの時間はきっと貴重ですよ?みんな目が覚めたら、行列を作って休む間もなくあなたをくすぐるでしょうからね…)
誰もくすぐる者がいない時間など最初から存在しなかったのだ。アラン自身がピコに鍵を渡し、くすぐることを許可したのだから。
そして行列を作って休む間もなくくすぐる時間は、まさにこれから訪れようとしていた。すでに3人の船員たちが目を覚まし、
ナミをくすぐりに来ている現実があった。
ナミはこちょこちょ海賊団のくすぐり地獄から決して逃れられない運命にあるのである。
その頃、船の甲板ではアランとギースが会話していた。
ギース「あの小娘……ピコの奴に遊ばせたんだってなぁ!!………アイツ……壊してねぇといいが……(苦笑)」
アラン「大丈夫ですよ………それにしても、やっと次の島が見えてきましたね。」
ギース「そうだなぁ!!あれは何てぇ島だぁ?」
アラン「砂の王国、アラバスタ………実はあの国の王女様が僕は好みでねぇ……」
そう言うと、アランはある新聞をギースに見せた。そこには可愛らしいビビの写真が載っている。
ギース「王女、ネフェルタリ・ビビ……確かにいい女だぁ!笑い狂わせたくてたまんねぇなぁ!!!」
アラン「ここらでもう1人、こちょこちょ海賊団のくすぐり奴隷を増やしましょうか……うふふ」
こんな会話が行われながら、海賊船は「砂の王国、アラバスタ」へと進んでいくのであった。
■続く■
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